2015.11.15

“東京おもてなし”の近未来を予感させる“スーパーレストラン”を訪ねました!

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▲上写真:テレビや雑誌でお馴染みの、“モルソー”の秋元シェフ(右)、 秋フェス2015実行委員会実行委員長で“賛否両論”の笠原シェフ (中)、“メゾン・ド・スリジェ”の浅水屋シェフ (左)/下写真:調理するシェフの前で料理を待つ参加者たち

photo, text: Motohiro SUGITA + Tranlogue Associates

 2015年10月25日(日)、東京都港区「厨BO!SHIODOME(東京ガス)」にて、秋フェス2015実行委員会が主催する“スーパーレストラン”が開催されました。キャッチフレーズは、「オールスターシェフによる夢の共演〜超繁盛店のシェフ25人が集合。各々が腕によりをかけた料理を味わえる1日限りの夢のレストラン〜」。

“東京おもてなし”の最前線で活躍する、和洋中様々なジャンルのシェフたちの調理を目の当たりにしながら、次々にサービスされる料理を堪能。今回は、畜・農・林・水産物の宝庫と言われる「いわて産」が使われました。

定員は、4回の入れ替え制で各回150人。入場料は、キッチン前のアリーナルームで5,500 円(税別)。スパークリングワインやワイン、ビールなどドリンクはすべてフリー。帰りがけには、サントリーから1人1人にプレミアムモルツの“マスターズ ドリーム”3本を、おみやげにいただきました。

レストラン関係者によると、イベントは8年前からシェフの店で始まり、昨年からスポンサーがついて今のかたちになったとか。オフィスの壁際に折り畳みテーブルを並べたような会場に、最初は戸惑いましたが、参加者1人が25人のシェフと。1人のシェフが600人の客と対面しながら食の楽しみを追求するスタイルは、“東京おもてなし”ならではの醍醐味です。有名無名、高級普及にかかわらず、楽しめました!

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「野外の音楽フェスティバルのように、料理人たちと客が一緒になって楽しむ。“食べる”ことの魅力をストレートに共有する。和・洋・中の料理人がジャンルを越えて一体となる」。そんなレストランを目指しているそうです。写真の料理は、全14品以上提供されるという料理のうちの約半数。

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▲覆面パフォーマンスで参加者を楽しませる “スーツァンレストラン陳”の菰田シェフによる、青山椒が感覚を目覚めさせる絶品麻婆丼。ライブでは熱々がいいですね!

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料理イベントの〆は、“なすび亭”の吉岡シェフ、“オステリア ルッカ”の桝谷シェフ、“鈴なり”の村田シェフ・・・そうそうたる面々が一堂に会しての記念撮影でした。

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2013.08.02

東京の玄関口、東京駅で『東京おもてなし』を!

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photo & text: tranlogue associates

2012年10月、東京駅丸の内駅舎は1914年竣工当時の姿に復刻され、2014年に100周年を迎えます。今回は東京の玄関口、東京駅丸の内口にある東京ステーションホテルを訪ね、東京おもてなしの今を探してきました。

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▲東京ステーションホテル2階の通路から丸の内南口を見下ろす。宿泊客はもちろん料飲利用のヴィジターも、100年前の空間を静かに体験できます。リベット(金属製の鋲)を露出させた鉄骨のトラス(三角形を連続させた構造体)が新鮮です。前掲のホテルエントランスのH鋼(断面がH型の鉄骨)は、100年前のインテリアとイメージでつながっていたんですね。

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▲丸の内南口吹き抜け(南ドーム)の2階からレストランエリアへ。バラの花柄のパネルは、こちらもアイアン(鉄製の構造物)つながりですが、H鋼や鉄骨トラスより洗練されてエレガントな印象に。おもてなし感が盛り上がります。

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▲2階レストランエリア最奥、フレンチのLE RESTAURANT Blanc Rouge(ブラン ルージュ)。オープン前には外国人需要を期待した、とのことですが、東日本大震災の影響でしょうか、昼間は中高年女性グループ。夜は日本人ビジネスマンといった客が主流とか。徐々に外国人ヴィジターも増えているそうです。また、客のなかで予想外に多いのが、かつて東京ステーションホテルで結婚披露宴を行った中高年カップル。また最近では、男性が女性にプロポーズする場所として利用されているとか。スタッフも喜んでプライベートなサプライズイベントに協力していますが、そのとき決まって女性は涙するそうです。おもてなしの専門家冥利に尽きる瞬間ですね。

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▲レストランのテーブル脇の窓から、京浜東北線や山手線をウォッチ。駅ならではのリアルな場面ですが、レストランにあっては気の利いたおもてなしです。

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▲ランチメニューの1つ『マルセイユ風ブイヤベースをブラン ルージュ仕立てにして』。ブラン ルージュではブイヤベースを、3回に分けてサービスします。1品目は地はまぐり、帆立、ムール貝をそれぞ味も食感も異なる調理法で。2品目はブイヤベースの旨味を凝縮した濃厚スープを、まるでエスプレッソのようにデミタスカップできゅっといただきます。そして最後、3品目は国産伊勢海老、かさご、ほうぼう、的鯛、こち、すずきといった6種類の魚を一気に。ニンニクの利いた絶品自家製マヨネーズが、味覚を目覚めさせてくれます。フレンチの定番ブイヤベースを、会席料理のように小鉢に分けてサービスする感覚は、異文化をミックさせる東京おもてなしならでは、と言えそうです。

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▲ホテル正面入り口やレセプションに近接するTHE LOBBY LOUNGE。イギリス調のクラシックなインテリアとのことですが、数種類のソファをミックス・アレンジしている様子は今風でクール。外からガラスのパネル越しに見る落ち着いた雰囲気もいい感じです。1日平均の乗車人員が40万人を超える(※)駅のすぐ隣には、こんな居心地のいい空間があるんですね。(※JR東日本HPより)

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2010.08.26

東京おもてなしのトップランナーの1店、ロオジエの一端に触れて

2010年8月現在、東京にはミシュランによる評価で最高の3星レストランは、世界最多の11軒あります。 ミシュラン的視点で見れば、一段落した感のあるヨーロッパと比較すると、東京は世界一元気で食いしん坊の街、ということになるのでしょうか?
また、11軒のうちフレンチは3軒というから、いかに厳しい評価であるかがわかります。
昨年7月、幸運にも私たちはあるお祝のため、東京版ミシュランが発行されて以来、3年連続して3星を獲得している3軒のフレンチレストランの1つ、銀座並木通りにあるロオジエを訪ねる機会に恵まれました。
ミシュランによると評価は、料理だけで決めているとのこと。つまり、サービスやインテリアなど、客の印象を左右する要素は含まれません。なお、サービスやインテリアについては別の評価を用意しているようです。
もっとも、資生堂が開設し、本社社屋の1階に構え、かつては銀座のシンボルとしてやさしい景観をつくり出した柳の、そのフランス名から名付けられたロオジエが、サービスやインテリアに力を入れない筈がありません。
料理だけでも最高峰と評価されるロオジエの一端に触れて、日頃フレンチとは馴染みのない私たちなりに「東京おもてなし」の視点でホストとゲスト、両方の立場から、記憶を紐解きながら記録に留めてみました。間違っていたら悪しからず、ご指摘ください。

カテゴリー:08■東京おもてなし

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舗石はブルゴーニュの葡萄畑の下から採掘されたもの。遥かブルゴーニュから貴重な石を運んで東京に敷き詰めたのはロオジエならではおもてなし。しかし、これを皆で真似すると希少価値が下がると同時に、エコ的にもNG(笑)。

photo/text: tranlogue associates

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2階のダイニングへと昇るアイアンと大理石でつくられた螺旋階段。手すりは柳をアール・デコ様式で表現したもの。蹴込みが無いため、壁面から洩れ出る白い光が効果的に広がり、空間全体が明るい印象に。一段上がるごとに、これからどんな祝福の席にいざなわれるのかと、ゲストの期待は高まるばかり。


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シンプルでモダンな構成にダリの時計など、印象的でエレガントな要素が随所に配置された空間。アプローチの長さの割には、こじんまりとした空間。客席は40席、スタッフは45名。この規模、このバランスでなければ3星を維持することは難しいのだろう。

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左右非対称に印されたシルバーのL’OSIERのロゴが印象的な位置皿。空間と同様、優しくエレガントなその皿に、ゲストは早くも祝福を受けているムードに包まれた。インテリアやお皿から感じるデザインは、昨今オープンする他店には少ない女性的な香りが漂う。資生堂×銀座×フレンチというマーケティングか? 男性が夜の接待で利用するには勇気がいるかも。


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ソムリエに推薦していただいたシャルドネとピノノワール、ピノムニエの3種の葡萄を使った、リストにはないシャンパン「Christian Busin(Cuvée Trinité)」。推薦理由は、3種類のハッキリとした葡萄の個性を味わう楽しみ、とのこと。こんなとき他のレストラン、他のソムリエであれば、甘口辛口、熟成具合などについてゲストの好みを尋ねることもあるだろう。しかし、ロオジエのソムリエはただ笑みを浮かべ、自信に満ちていた。グラスに注がれたシャンパンからは、見るからに、味と香り、そして色を楽しむことを大切にしている様子が伝わってくる。ホストとしては、ゲストに喜んでいただけそうな、納得のシチュエーションが整いつつある雰囲気を感じた。食事の最初から濃厚な味のシャンパンをいただくのも躊躇される、かといって軽く平凡なシャンパンでは会話が弾まない。今日のお祝にピッタリのリコメンドだった。私たちは、トリニテの咽越しの良さ、適度な熟成感としっかりとした独特の味と香りを楽しんだ。


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前菜の前にサーブされたバターは、有塩、無塩の2種類。味もさることながら、2種を区別する印が心憎い。

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前菜前のアミューズは、とうもろこしのソース、半熟玉子、甘草のクリームが重なったスープ。温度と舌触り、重層的な味覚、食器のコーディネート等々が、これから始まる全身で体験する「料理の旅」の目的地を予告しているかのようだ。食べる前から目を喜ばせる旅だ。おもてなしする立場のホストとしても安心、かつ高揚した気分でロオジエ号に乗船し、出航できた。

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真鰯のジュスト・キュイ ラタトゥイユ添え プロヴァンスの香り。「ネオ・クラシック」を標榜するフランス人シェフ、ブルーノ・メナールならではの感性で仕上げられた青魚が新鮮。酸味や辛み、甘みや旨味が夏にうれしい清涼感を。


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パプリカのジェラートにフレッシュ・オリーブオイル。パプリカの苦みなど独特の風味を、あくまでもやさしくまとめた一品。これは前述の真鰯のジュスト・キュイ ラタトゥイユ添えの付け合わせで、併せていただくことで、スパイシーな一皿がマイルドな印象に様変わりし、最後の一口まで飽きさせない。

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キャロットのフラン リヴェーシュの香り

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ハーブ風味の山羊チーズ(キャロットのフランの付け合わせ)

コース全体を通して、スパイスやハーブを効かせ、きりっとして爽やかに仕上げた料理が多く見受けられた。夏という季節柄と、塩分を控える最近のヘルシー志向を意識してのことだそうで、ここにもロオジエの「おもてなし」の心を感じる。ゲストは、ヘルシーを追求しながらも決して淡白・平凡に収まらず、意表をつく喜びを提供するロオジエのこの配慮に感動を覚えた。


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味や香り、色の好みと予算を伝えた後、ソムリエより推薦していただいたブルゴーニュの1本「Clos Saint Denis/1983(平凡な年)/maison/grand cru」。赤や紫の時期を過ぎ、熟成して褐色化したワインは、多少アルコールの硬さが残っているものの、水と葡萄と大地の恵が解け合って「おいしい水」に還っていく過程を感じることができる、柔らかくエレガントな味わいだった。写真のコルクは近年に打ち直されたもの。適性サイズのシルバーのトレイに載せられると、ワインそのものもおいしく感じられる。大事な作法のようだ。ミシュランのコメントに、「ワインはリーズナブル」とあった。リスト上でのプライスの幅もさることながら、客の満足度を最優先させるためか、予算オーバーのワインを含め、複数のワインから客に選ばせる、その場でのソムリエの判断もあるようだ。たまたまゲストの一人と誕生年が同じだったことから、このワインが選ばれたが、他の2本の候補は、「Nuit Saint Georges/1998(良い年)/村名」と「Echezeaux/1996(偉大なヴィンテージ)/domaine /grand cru/手づくりが特徴」。3本ともワインリストにはない秘蔵のワインとのこと(本当?)。Echezeauxに未練たっぷりの同席者にソムリエは、「大丈夫です。Echezeauxは取っておきますから(笑)」とコメント。ワインのセレクトで客を楽しませ、未練の残る客を上手にフォローするソムリエ。基本的で大切なサービスだ。

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白いガラス質の器に盛られたトマトのガスパチョ。プレートも手技の温もりを感じさせるクールなガラスプレート。
わさび風味のオリーブオイルアイスクリーム、ボタンえびのムースと一緒にいただくスープは、程よい酸味とわさびの風味がアクセントとなり、夏にふさわしい、さわやかな味。

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アスパラといかのフラン。誰もがその視覚的な楽しさに驚かされるのではないか。樹木が幾何学的に配置された庭園や、2種類のパラソルが整然と並ぶ地中海のビーチなど、風景や宇宙観を連想させられる。時計が止まったように、シンプルな素材を複数のソースと組み合わせて1つ1つゆっくりと味わうことになる。ゲストを含め、このプレートをチョイスしなかった出席者も、しばしその独創的な世界に見とれ会話を楽しんだ。

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イトヨリとズッキーニのラビオリ。球体、円柱、半円という幾何学的な形もモダンなインテリジェンスを感じさせる。しかし、泡立てられたソースや食材の色彩が、やさしく力強く、決して奇をてらうことなく、基本的に食はスタンダードである、というしっかりとした哲学に裏打ちされているようだ。

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仔羊肉のコンフィ 旬の野菜添え ソース・ジュ・トランシェ

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デザートをいただく前、チーズとドライフルーツを盛り合わせた一皿。写真左のチーズは、熟成が進み香りが高く、口溶けは滑らかだがパンチの効いた一品。写真右は、赤ワインとの相性が絶妙で、ブルーチーズならではの、豊かなコクと旨味に舌鼓を打つ。

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懐かしいヨーグルトの瓶に入れられたオレンジのゼリーとフロマージュブランにバニラビーンズ ブラッドオレンジのソルベ。爽やかな咽越しで、トッピングされているオレンジピールがアクセント。写真左下はプレ デセールのクレームブリュレ。エッグホルダーに入れられ、可愛らしい演出に。


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オレンジとチョコレートのパルフェ マラスキーノの香り フォレ・ノワール風。これをいただいたゲストの一人は、「濃厚な味わいで、この一皿ですっかり満腹。〆となった」とのこと。

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軽い食感の焼き菓子でサンドされたチョコとミントのハンバーガー。グリーンとブラウンのコンビネーションが目にも涼やか。こんな遊び心にもおもてなしのセンスを感じる。

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お茶をいただく前にサーブされる小さな菓子。菓子は格調あるヨーロピアンデザインの木製ワゴンよりサーブされる。


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ワゴンよりチョイスした菓子。手前はサフラン入りの砂糖をまぶしたいちご。奥左はゆずの風味が効いた爽やかな一品。奥右は、濃厚なチョコレート菓子。ワゴンにはその他、串に刺した飴菓子、カカオの含有率が印字されたチョコレートなど様々な一口サイズの菓子が整然と並ぶ。あくまで品の良さを感じさせながらも、楽しい夏の夜店に迷い込んだような、心躍る演出だ。ゲストは最後の最後まで随所に遊び心のあるサプライズに喜び、ロオジエでのひとときを心から楽しんだ。


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エントランス・ホールに置かれた作品。ロオジエのコレクションは、1870年代に資生堂スタイルが芽吹いた頃からアール・デコ時代までに創作されたアートや調度品をフランスで収集して来たもの、とのこと。ロオジエはただ食事する場所ではなく、5感を使って美を愛でる場であるようだ。

ロオジエは来春(2011年)に、資生堂本社社屋の建替えに伴い一次閉店されるとのこと。
2013年秋に再開される際には、今まで通りトップランナーの1店として東京おもてなしをリードしていただきたいと期待しています。
私たちも新生ロオジエでもてなし、もてなされる両方の立場で、新たなおもてなしと出合えることを楽しみにしています。

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2009.09.18

銀座・久兵衛でローマからの旧友を持て成す

2週間ほど前「仕事で東京へ行くことになった。少しでも会える?」と旧知の友人からメールが届きました。彼女は、18年前の1991年、ネパールからチベットへの1週間のバスツアーで仲良くなった私と同じ年のイタリア人。久しぶりに会う大切な友人を日本を代表する料理店の一つ「銀座・久兵衛」で持て成すことにしました。

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photo + text: Kazuko TOMOYORI

イタリア政府に務める彼女は、イタリア大統領ジョルジョ・ナポリターノの来日に伴い、関係者の一人としてやってきました。ローマからやって来た旧知の友人を東京で持て成すには、何と言っても江戸前寿司が一番。
そこで、こういう機会でないと私達も行くことがない「銀座の久兵衛」に、思いきって予約することに。

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和の趣にシャープでモダンな細長い建物は、東京建築賞優秀賞・日本建築士会連合会優秀賞などを受賞していて、5つのフロアが、少しずつ違う部屋になっていました。前もって予約をしていたのですが、先客のスタートが遅れたため、私達も少々待つ事に。ところが、4階がウェイテングルームになっていて、何とそこは北大路魯山人のギャラリー。魯山人と先代(初代)店主は喧嘩友達だった、とのこと。予期せず魯山人の作品を鑑賞することができ、彼女との再開に華を添えることができました。しかし、彼女にとっては、ニコラス・ケイジなどハリウッド・セレブの来店記事のほうが気になったようでした。

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少し待った後、私達は1階の椅子席カウンターへ。寿司職人の研かれた包丁さばきを見ながら、活きのいいネタをつくり立てでいただく江戸前寿司は、エンタテイメントに溢れている、と改めて感心しました。友人も目を丸くしながら「リアルスシ!」と叫んで喜び、最高の東京おもてなしとなりました。

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寿司職人さんは、ジョークを交えながら友人に英語で対応し、江戸前の「活、粋、意気」を見せてくれました。

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生きたエビを前に、友人は少し引いていましが、きっと忘れられない1日に。

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お店の若い方が、師の指示に従って私達を撮影してくれました。見るからに厳しそうな師弟関係ですが、皆、活き活きと仕事を楽しんでいるようで、とても居心地の良い雰囲気でした。段差のある木製カウンターは、奥行き1mほどある立派な一枚板。寿司職人と客、見知らぬ客と客、それぞれ程良い距離感が、気持ち良くコミュニケーションを盛り上げてくれました。友人も私たちも仕事に追われ、昨夜は同じ東京の夜空の下で徹夜。お互い疲れた身体に鞭を打ち、再会とお互いに納得のいく職業に就いていることを喜び合いました。

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2009.04.16

東京で出合った心を満たすおもてなし

Vol.1 ザ・リッツカールトン東京
東京再開発の中心、六本木にある「世界最高の感動サービス」を謳うホテル、ザ・リッツカールトン。
ホテルやホスピタルの語源がホスピタリティであると言われるが、ザ・リッツカールトンがホテルというライフスタイルの提供を通して極めるおもてなしとは、一体どのようなものか?
トランローグが加盟する(社)日本マーケティング協会が主催する「ザ・リッツカールトンを体験する会」に参加して、レストラン、客室を見学・体験し、さらに総支配人から哲学について伺った。

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(text+photo:MotohiroSUGITA)

コバルト・ブルーのゴブレット
すれ違うすべてのスタッフの快活な挨拶に迎えられ、昼前に集合場所の会議・宴会場に到着した。
テーブルにはステーショナリーが準備され、青色の夜景が印象的なブロッシャーと、同じく美しいコバルト・ブルーのゴブレットに水が注がれ、また、脚付きの菓子皿にグリーンのミント・キャンディーが用意されていた。
これらも、ゲストが講演会で数時間を快適に過ごすための、おもてなしの表現なのだ。
ところで、コバルト・ブルーのゴブレットには、こんな逸話があるそうだ。ザ・リッツカールトン ボストンのオーナーが、コバルト・ブルーのチェコ製のクリスタル・シャンデリアを注文した際に、それによく合うゴブレットをデザインしたのが起源という話。

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受講者用のテーブル・セッティング。チョコレートの香り、シナモン・ホワイトペッパーなどを加えたザ・
リッツカールトン東京オリジナル・ブレンドティーは、至福のリラクセーションを演出してくれる。大人も子どもも虜に。

「アラカルト」の発祥地はザ・リッツカールトン ロンドン
オリエンテーションを受け、総勢50名ほどの参加者は、45階のレストランへと移動した。
流石に50名にサービスするのは並大抵ではない。また、参加者は日本を代表する企業の、役員やサービスのプロばかりだ。スタッフは行く先々で呼び止められ、メニューについて質問攻めにあった。
スタッフは、大人数に滞りなく皿が行き渡ることを第一に考えながらも、一人一人の質問に対して手を抜かず丁寧に答えた。
なお、「アラカルト」のコンセプトは、ザ・リッツカールトン ロンドンのシェフ、エスコフィエにより生み出された、とのこと。

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研究会のためにアレンジされたランチ・メニューのメイン「雛鶏のロースト、クミン風味、ワイルドライスピラフ、セージのジュ」。雛鶏とワイルドライスの食感の対比、2つをまとめるソースが面白くヘルシーな逸品。

ダブルベッドもリッツが起源
デザートとコーヒーをいただくと、参加者は3グループに分かれて客室へと案内された。
一泊6万8千円のタワーデラックスと11万円のエグゼクティブ・スイートの2タイプだ。
いずれもヨーロッパの落ち着いたやさしい印象のインテリアの中に和を取り入れたスタイルだが、それらが違和感なく調和していた。
ところで、ダブルベッドは、公共の場ではシングルベッドで別々に眠るという当時の常識を覆し、セザール・リッツがパリのリッツに導入したのが始まりとのこと。

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2方向の窓から東京を見晴らすエグゼクティブ・スイート。玄関ホール、ベッドルーム、リビングがそれぞれ独立。洗面、シャワーは2セット。エスプレッソ・マシンや高音質スピーカーなどの備品も充実。

お客様に忘れられない感動を与えることが使命
総支配人リコ・ドゥブランク氏自らサービスの真髄について語っていただいた。

「私たちのモットーは『紳士淑女におもてなしする私たちも紳士淑女です』。つまり、常に人を気持ちよくさせるのが紳士淑女です。その最高のお手本がオランダ女王です。女王は、ヨーロッパとは文化の異なる地域から訪問されたゲストを招いて晩餐会を行いました。乾杯の際、ゲストはフィンガー・ボウルの水を飲み干してしまいました。列席者は皆驚きました。しかし、女王は顔色一つ変えずフィンガー・ボウルの水を飲み干し、ゲストに一礼しました。それを見ていたすべての列席者は、女王に習い、乾杯しました。紳士淑女は決して人に不愉快な思いをさせません」

「今朝、世界的セレブがこのホテルにやって来ました。ところが彼女は移動のため、おそらく到着前に彼女が何よりも楽しみにしていた筈のあるものを見ていません。そこで、スタッフは考え、それを彼女に見せたのです。すると彼女は、私たちの目の前でジャンプして喜んでくれました!」
(オフレコにつき、これ以上詳細は書けません。)

これらが世界最高の感動サービスを目指すザ・リッツカールトンのおもてなしだ。
なお、ザ・リッツカールトンのサービスは、お客様に満足いただくためにスタッフ全員が一人一日当たり20万円の決裁権を与えられていることで有名。
ドゥブランク氏は自ら笑いを堪えて悪戯っぽく語った。
「皆さんにお願いです。どうか私のスタッフに20万円を使わせないようにお願いいたします(笑)」

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総支配人リコ・ドゥブランク氏。情熱とユーモアたっぷりにザ・リッツカールトン東京の哲学と戦略を語る。

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