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2017.08.07

《2017年6月》先端コンテンツテクノロジー展で見つけた次の暮らしのデザイン

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movie: Motohiro SUGITA + Tranlogue Associates
photo & text: Motohiro SUGITA, Shizue INOUE + Tranlogue Associates

2017年6月28日(水)〜30日(金)、東京ビッグサイトで『第3回 先端コンテンツテクノロジー展』が開催されました。この展示会は全7展から構成される『コンテンツ東京 2017』のうちのひとつです。メディアを通して次の暮らしをデザインするトランローグは、出展社を訪ね、最新動向を取材してきました。
2016年はVR元年と呼ばれていました。アメリカ大手投資銀行のゴールドマン・サックスによれば、2025年のVR/AR市場は最大1,100億ドル(約12兆4千億円)になると予測しており、ますます勢いが感じられます。今年は、よりリアルに、視覚や聴覚だけでなく五感に訴えて、より没入感が得られるコンテンツ提案が増えてきていること。また、エンターテインメント分野だけでなく、さまざまな分野でのユーザーエクスペリエンスの向上へと発展している印象でした。


パナソニック

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立体の構造物に映像を投影する際、簡単なマウス操作で映像の位置合わせができ、大幅に作業時間を削減できるプロジェクションマッピング技術。システム構成は、立体の構造物をセンシングするためのカメラ、PC、プロジェクターで、プロジェクターの配置や数は自由に変更できます。動画のように回転する対象物に合わせ、リアルタイムに映像を投影することもでき、人目をひく演出に活かせます。複数の店舗で活用する場合でも、同一のコンテンツを用意すれば、店舗ごとにプロジェクターの配置が異なっていても、スタッフが手軽に位置調整できるためメンテナンスが容易です。人手に余裕のない店舗でも省力化をはかりながら高度な演出ができるのは、頼もしいソリューションとなりそうです。

avatta

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立体の対象物を複数のアングルから撮影・解析して三次元データを制作する技術をフォトグラメタリーと言います。近頃はフォトグラメタリーの制作会社が増えてきたそうですが、Avattaは日本で初めて専用スタジオとして2014年にオープンしました。上写真の球状の設備は、人物の顔を3Dデータ化するためのフェイシャルスキャン専用システム。顔に特化することで、最適な位置から撮影できるカメラ配置を計算しています。非常にリアルなアバターがより手軽に作成可能になるそうです。毛穴やシワまで再現できる細密なクオリティは、目をみはるものがありました。その他120台以上のカメラを使用したハイクオリティ3Dデータ用オリジナルスキャナーによるボディスキャンや、ドローンを使った地形建物スキャンなど、細密な3Dデータ作成を行っています。

ガオカンパニー

前面にホログラム映像を投影する表示機器『dreamoc™ POP3』。実際の展示物と映像を融合させた、印象に残るプレゼンテーションが可能です。上の動画では、実際の展示物であるスマートフォンから、3DCGで制作されたヘッドフォンが、あたかもスマートフォンの画面から飛び出してきたかのように現れ、スマートフォンの周りを旋回します。リアルな展示物とバーチャルな映像をうまく融合させた好例で、一般的な展示と比べて滞留時間を増やせそうです。

南国ソフト

UI・UXデザインを手がける南国ソフトと、株式会社外為どっとコムの共同で開発したMicrosoftのHoloLens専用ツール『Market MR』。目の前の空間に為替レート、チャート、ニュースが表示され、ジェスチャーで切り替えられます。「本ツールの開発は、外為どっとコムの主力事業である店舗FX(外国為替保証金取引)の近未来の投資環境を考える中で、HoloLensの発売により大きな注目を集めつつあるMR(Mixed Reality:複合現実)技術に着目し、これを活用した過去に類を見ない情報発信の試みの一環として取り組んだもの。」とのこと。タイミングが大切な為替取引とMR技術は親和性が高いようです。実際に取引まで出来るようになる日もそう遠くはないかもしれません。

AOI Pro.

HMD(ヘッドマウントディスプレイ)、ベルトコンベヤー状の歩行装置、前面からの送風、そして人の手の模型を使ったVR体験『WONDERFUL WORLD VR Private Tour™』。世界各地、日本各地を案内役の人物にリードされて心動かされる風景の中を歩くコンテンツです。今回は、日本の関東地方のとある場所を女性が案内。現状はプロトタイプですが、「ハーネスや安全柵が無いVR歩行体験」は日本初とのこと。複数の体感装置と映像をシンクロさせ、さらに立体音響を用いて深い没入感を実現しています。

乃村工藝社

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乃村工藝社内に昨年発足したデジタルコミュニケーション領域の開発部門「ノムラオープンイノベーションラボ」による取り組みの中で、ユニークだったのが『Squeeze Music』。音楽の味覚化を可能にするジュークボックス型プロダクトとのことです。リストから曲を選ぶと音楽がスタート。再生しながら音楽のムードをリアルタイムに分析し、曲の展開に合わせて様々な味のドリンクがミックスされてグラスに注がれていきます。一曲終わると、その曲のムードに基づいた味のミックスジュースが完成します。現在は曲ごとにあらかじめ味をプログラムしているそうで、バランスの取れた味になっていました。今後、リアルタイムにその場で曲を分析して味を作り出すのも面白そうです。

VREZ INNOVATION

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韓国の企業による、バッグなどに入れて手軽に持ち運べる、ポケットサイズのVRビューア『VREZ』。手持ちのスマートフォンに取り付けて使用します。折りたたみ式で、組み立ても簡単です。モダンでここまでスッキリコンパクトになるVRビューアは、今までありそうで無かったのではないでしょうか。本展示会時点では、日本では未発売とのことで、販売店・代理店を探していました。没入感の点では、本格的なVRゴーグルに軍配が上がりますが、重たいゴーグルをつけるのが苦手な人や、手軽にスマホでVRを楽しみたい人にはうってつけです。携帯性に優れているので、外出先にVRコンテンツを持ち出して楽しむのもよさそうです。また同社では、『VüVana』という3Dコンテンツの配信サービスも行っており、「Forest Tweet」「Beautiful Silence」「Another Sky」など、穏やかな風景をイメージしたリラグゼーションコンテンツが楽しめます。

ハシラス

5メートル四方の円周上を進む歩行器で、6人が同時にコンテンツを楽しめる『CLOCK WALK』。実際には同じところを回り続けていますが、VR上では直進でどこまでも歩き続けることが可能なオリジナルシステムとのことです。ネットワークプレーでお互いのアバターが見えますが、参加者同士がぶつかることなく、前の人について行くという自然なUIで渋滞緩和と衝突防止を実現しています。自分の足で歩いていくリアルな体感で、没入感を高めています。

アスク

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360度3D映像を撮影できるNOKIAのハイエンドカメラ『OZO』。球状の本体に8つのカメラとマイクを内蔵し、立体的な映像を撮影します。撮影中の360度3D映像をリアルタイムで確認することも可能。オバマ大統領の退任演説のストリーミング放送でも使われたそうです。出力ケーブル1本か、バッテリーとメモリのカートリッジひとつのいずれかを選択でき、キャプチャした動画や音声は全てひとつのファイルに出力されます。付属のソフトでは、3D画像のスティッチング(画像のつなぎ合わせ)の複雑さが軽減され、コンテンツ制作を省力化できます。価格は600万円ほどとのこと。ハイクオリティ化が進んだ製品により、これからますますリアルで精細なコンテンツの普及が実現されていきそうです。

テクリコ

MR・VRによる業界初・世界初の本格リハビリ医療ソフトウェア『リハまる®』。特許出願中だそうです。上の動画で体験したのは、高次脳機能障害改善リハビリアプリ。従来は作業療法士と患者が1対1で、紙と鉛筆で行ってきた注意障害改善のリハビリを、アプリで実現しました。MicrosoftのHoloLensで見るMR上で、視界のそこかしこに現れている数字を順番に、小型のコントローラでマーカーを合わせクリックしていきます。医学的エビデンスに則した本格的なコンテンツでありながら、エンターテイメント性が加わるため、実際に患者さんに行ってもらったところ喜んでいただけたとか。テクリコでは、独自開発した人工知能により、患者ごとのリハビリメニューを自動編成できるため、医療従事者の省力化もはかれるそうです。医療分野でのこれからの展開に期待します。

FunLife

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AR(Augmented Reality:拡張現実)技術とモーションセンシング技術を用いた最新トレーニングサービス『ARC(AR Coaching Mirror)』。特許出願中だそうです。『ARC(AR Coaching Mirror)』上に、お手本となるインストラクターのフォームや、フォーム矯正の内容を表示します。ミラーに映った自分と、ミラー上のインストラクターを見比べながらトレーニングできるため、直感的な分かりやすさがあるように感じました。実際のインストラクターが居なくてもユーザーを指導できるため、フィットネスクラブなどの店舗側としては、人件費の削減や話題性による集客効果などのメリットが。一方ユーザー側としては、マンツーマンの指導が受けられ、トレーニングの充実化がはかれそうです。

ALPHA CODE

ネットワークコンテンツの企画・研究・開発やコンサルテーションを行うアルファコード。 『VRider Direct』は、誰でも簡単に、低コストで大量のVRコンテンツ制作を可能にするVR/MR CMS(コンテンツマネジメントシステム)です。上の動画のようにHMDとコントローラを使い、制作中のVR空間内でテキストや画像、動画、音声、URLリンクを直感的に配置することができるため、誰でも手軽に編集が可能です。『VRider Direct』の活用事例として、今年の夏に朝日新聞が『NEWS VR』のサービスを開始。VRコンテンツは制作時間がかかるイメージがありますが、報道現場の全体像を、速報性を持って伝えることができるそうです。「見る」報道から「体験する」報道へのシフトが実現されます。

BeRISE



『BeRISE Table』は、テーブルの天板に映像を投影し、タッチ操作ができたり、天板に置いた展示物に触れたり動かしたりすることで、投影された映像が連動します。歴史資料館で実際に採用された際には、天板に置いた砂時計を動かすことで古地図を表示して、城があった場所や歴史的人物の生誕地などを紹介。また砂時計を逆さに返すと現代の地図に切り替わり、周辺の観光施設案内などが表示される仕様にしたそうです。また、展示物の裏にセンサーを取り付け、別の展示物を置くとコンテンツも併せて切り替わるという仕掛けもつくれます。ユーザーに合わせて、省スペースで最大限の効果を発揮します。

前野ダンボール
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段ボール成形品をはじめとする包装資材の製造販売などを手がける前野ダンボールによるVRビューア『minima VR』。コンパクトかつシンプルな構造で、組み立ては簡単です。封筒型の専用ケースに収めて、そのまま定形外郵便として郵送することが可能。オリジナルの印刷もできるためノベルティに最適です。VR専用レンズで見やすさにもこだわっています。また、合同会社ジーンの協力のもと、VRコンテンツ制作だけでなく、自身での制作をサポートするサービスも特長のひとつ。VR動画制作の学習プログラム、制作時の機材類のリースや編集作業のサポート。また制作した動画をより多くのユーザーに見てもらえるよう、『minima VR』を使用したイベント・チラシ・DMなどの拡散ツール制作もサポートします。VRコンテンツの楽しみが、より多くの人に広がりそうです。

ultrahaptics(コーンズ テクノロジー)
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英国のブリストル大学発のベンチャー企業、Ultrahaptics社による空中ハプティクス技術。超音波を利用して、空中で触感を得ることができます。長年世界中で研究されてきた技術を商用化レベルまで発展させることに成功したとのこと。超音波トランスデューサーアレイによって発せられた超音波を集約。赤外線のモーションセンサーで手の位置を認識し、特定の位置に触感を作り出します。体験者によると、雷のビリっとした触感や、シャボン玉が手のひらに当たってはじけたような触感が得られ、とても面白かったそうです。グローブなどを着けることなく、よりリアルなVR体験が実現できそうです。

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