《2015年6月》 デジタルサイネージ ジャパン2015で見つけた次の暮らしのデザイン
photo & text & movie: Shizue INOUE + Tranlogue Associates
2015年6月10日(水)〜12日(金)、幕張メッセHall7において、『デジタルサイネージ ジャパン 2015』が開催されました。本展は、Interop Tokyo 2015、IMC Tokyo 2015、ロケーションビジネスジャパン2015、APPS JAPAN 2015と同時開催された、デジタルサイネージの最新動向を伝える展示会です。
近年デジタルサイネージは、広告・販促メディアとしてはもちろん、公共施設や商業施設の案内表示など、あらゆる場所で導入され一般化してきました。
今回の展示会では、外国人観光客向けの多言語対応サイネージや、8K対応のデジタルサイネージが多く見られ、東京オリンピックが開催される2020年に向けて、デジタルサイネージはさらに存在感を増していきそうです。メディアを通して次の暮らしをデザインするトランローグは、出展社を訪ね、最新動向を取材してきました。
8Kサイネージシアター
8Kサイネージシアターでは多くの来場者が足をとめて、スーパーハイビジョン(8K)の美しさを眺めていました。現在放送されているハイビジョン(2K)の16倍もの超高精細映像を実現するスーパーハイビジョン(8K)。2016年には試験放送開始、2018年には実用放送が開始され、2020年東京オリンピック開催の頃には本格普及する計画です。
NTTアイティ 株式会社
複数の映像を一つのスクリーン上に重ねて表示し、映像を3方向に分けて表示するデジタルサイネージ『ひかりサイネージ マルチビュー』。3台のリアプロジェクターから映像を投影し、視聴者の立つ位置によって見える映像が変わります。指向性スピーカーと組み合わせることによって、3台のスピーカーから映像に合わせて別々の音声を出力することも可能です。
ユーザーとの自然な対話で情報を聞き出し、必要な周辺情報を案内する、接客型のデジタルサイネージ。現在は研究段階とのこと。例えば「たばこを吸いたい」と話しかけると、すぐに吸いたいであろう、という前提のもと、近くの喫煙場所を案内してくれます。上の動画では、対話中にサイネージが音声認識する際「たばこ」を「たく」と誤認識します。ですが直前の会話と「買いたい」というフレーズから、正しくは「たばこ」であると判断して、たばこを購入できる場所を案内します。この技術はAI(人工知能)ではなく、あらかじめ観光に関わる情報などをインプットして実現しているそうです。
通常は鏡で、スイッチを入れると映像が浮かびあがるミラーディスプレイ『GLAS LUCE』。マジックミラーの背面にディスプレイを設置することで、ディスプレイのフチを感じさせず、斬新な演出ができます。ホテルやブティックなど商業施設はもちろん、住宅のインテリアとしても取り入れられます。例えばリビング壁面に設置して、テレビを見ない時には環境映像を映してリラックスしたり、キャンドルに火が灯る映像を照明代わりにしたり。また洗面室に設置して、時刻や天気に加え、ヘルスケア機器と連携して心拍数などを表示することも可能です。AVやITとインテリアの融合で、新しい暮らしのかたちを実現できそうです。
株式会社 Will Smart
Will Smartは、地図情報会社最大手のゼンリン系列の会社。ゼンリンの地図情報を中心とした情報サービスを提供しています。こちらは多言語対応、地図ナビゲーション&コールセンターによるコンシェルジュ連動型サービス『Smart-Com』。観光業界初のサービスとのことです。タッチパネル式で、周辺の地図情報や施設案内、ルート検索が行えます。デジタルサイネージでの地図ナビゲーションだけでは今ひとつわからない場合は、付属の受話器で24時間365日対応のコールセンターへ問い合わせることができます。日本語、英語、韓国語、中国語の4カ国語に対応し、あらかじめ、利用者がどの言語で閲覧しているかをコールセンターが把握できるため、その言語に対応可能なオペレーターにつながります。また、利用者が閲覧している画面はオペレーター側でも表示され、オペレーターが遠隔で端末を操作できるため、分かりやすくきめ細かな対応ができます。
タッチパネル式の『多言語地図サイネージ』。日本語、英語、韓国語、中国語(簡体字、繁体字)の5言語に対応。周辺情報など地図にかかわるコンテンツがメインですが、導入企業の要望に合わせてカスタマイズも可能です。サイネージは、インターネットに接続して使用するタイプと接続しないタイプの2種。接続しないタイプの場合、あらかじめ周辺の地図情報などをインプットしておきます。接続するタイプは、より広範囲の地図表示や、拡大表示も可能です。記念撮影機能も搭載し、外国人観光客にも喜ばれそうです。撮った写真は、サイネージに表示されるQRコードにスマホからアクセスすると、ダウンロードできます。
株式会社 ソシオネクスト
デジタルサイネージに設置したカメラで人の動きを検知し、花や蝶などのモチーフをリアルタイムに重ねて表示します。コンテンツとしては、最近さまざまなところで見かけるものですが、通常はPCが必要なため、熱を帯びるなどPCを酷使し、場合によっては故障につながります。これを、チッブを搭載した小型のボックスを接続するだけで実現している点が、同社のソリューションとのことです。
株式会社 ダイスジャパン x 株式会社 夢現舎
iBeaconを利用し、デジタルサイネージとスマートデバイスを連携させるインタラクティブなソリューション『mD-Signage』。『mD-Signage』アプリをインストールしたスマートフォンがデジタルサイネージに近づくと、ビーコンの電波を受信し、およその距離を認識して『もう少し近づいてください』などとユーザーにメッセージを送信します。ユーザーがサイネージの前に来ると、ショップなどのリストが表示され、見たい情報をスマホから操作してセレクト。すると、サイネージにはショップのブランディング映像が、スマートフォンには詳細情報が表示されます。配信情報はサーバーで一元管理されており、災害時には緊急情報を配信することも可能だそうです。
ピーディーシー 株式会社
デジタルサイネージとウェアラブル端末連携のサービス『wearable digitalsignage』。今回はデジタルサイネージと発売されたばかりのApple watchを連携させた提案を行っていました。Bluetoothビーコンを利用して、デジタルサイネージに表示された情報がウェアラブル端末に送られ、気に入れば商品を購入することもできます。またウェアラブル端末で「いいね!」ボタンを押すと、デジタルサイネージに反映される、インタラクティブなシステムです。オムニチャンネルを実現するこのソリューションは、業界初とのことです。
三菱電機 株式会社
ディスプレイに触れることなくコンピューターを操作する、モーションセンサーコンテンツの制作サービス。センサーにより手の動きを感知して操作できるため、工場や手術室など、作業中に直接手でマウスを使用することが難しい場面で活用できます。手の動きによって、どのような操作を可能にするかはカスタマイズ可能。同社では、展示会での目をひく演出に導入されるケースが多いそうです。コンテンツは、マイクロソフトの『Kinect』®、Leap Motion社の『LeapMotion®』を使って動作しています。
おもに企業で利用されている同社の受付案内システム『コンコンコール』を、商業施設などへ導入する提案。利用者はタッチ式ディスプレイを操作し、館内案内などの情報を取得。オペレーターに問い合わせたい場合は、備え付けの受話器を通して会話ができます。オペレーターの画面には、ユーザーがどの言語でディスプレイを操作しているか、またどのページを見ているかが文字情報で表示されるため、その言語を話せるスタッフが出て、スムーズに対応することができます。
昕新テクノロジー
透過型の液晶ディスプレイ。バックライト方式で、ショーケース型のボックス前面にディスプレイを設置し、実際の商品をディスプレイ越しに見せながら、関連情報やイメージ映像などを流すことができます。独自技術により、コントラストを落とさずに、透過性を上げているそうです。
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