《2014年11月》 IFFT/インテリア ライフスタイル リビングで見つけた次の暮らしのデザイン【リポート第2弾】
世界に先駆けて発表された『ハイムテキスタイル トレンドプレビュー2015/2016』。ハイムテキスタイルは毎年ドイツ・フランクフルトで行われる、世界最大のテキスタイルの国際見本市。今回のコンセプトは「EXPERIENCE」(体験)。「Sensory」「Mixology」「Discovery」「Memory」の4つのテーマからなり、テーマごとにトレンドカラーが紹介されていました。
photo & text & movie: Shizue INOUE + Tranlogue Associates
2014年11年26日(水)〜28日(金)、東京ビッグサイト西1・2ホール+アトリウムにおいて、国際見本市 IFFT/interiorlifestyle living 『IFFT/インテリア ライフスタイル リビング』が開催されました。本展は、東京から世界へ向けて「ライフスタイルを提案する」インテリアデザインのための国際的なB to B/商談見本市であり、一般来場者は入場できません。
メディアを通して次の暮らしをデザインするトランローグは、出展社を訪ねて取材しました。今回は第2弾のリポートです。
Lineview|株式会社 Anonimo Design
店舗の装飾や空間の間仕切り、窓周りのレースカーテンの代わりとして使用されるストリングスカーテン『Lineview』。カラーバリエーションが豊富で、プリントやグラデーションなどもラインナップ。プリントコレクションでは、それぞれの糸にしっかりと色をしみ込ませることで柄をくっきりと表し、またどこから見ても柄が同じように見えるよう、染められているとのこと。ポリエステル100%でウォッシャブル。防炎性能(イ)ラベル〔水洗い洗濯及びドライクリーニングについての基準に適合するもの〕に合格しています。
chilt|株式会社 オークラ
子どもと大人が共有できるサイズ感を探してつくられた家具シリーズ『chilt』(チルト)。このシリーズ名は、childとadultを融合させて名付けられました。通常の大人向けの家具よりひと回り小さめなので、コンパクトな空間にも無理なく取り入れられそうです。下写真のデスクは、小さな子どもには椅子に座るとちょうどよい高さ。大人には、座卓として使用するとちょうどよい高さになっています。素材は、北海道に古くから自生する針葉樹、トドマツを使用し、北海道のみで完全生産しています。白く柔らかな木肌と丸みのあるフォルムが温かみのある表情を出しています。
da|ハンマーキャスター 株式会社
車軸のないハブレス・キャスター『da』シリーズ。「プレーン・ベアリング」という機構の開発により実現しています。斬新な構造とアルミを削り出したソリッド感で、シンプルながら、家具や什器のデザイン性を高めます。世界の名だたるデザイン賞も数々受賞。中・下写真はホイールにカーボンを使用した車いす。プロトタイプとのことですが、カーボンを使用することで、軽量・堅牢に。また、ハブレスキャスターはスポークがないため、斬新で未来的なデザイン性で目をひくばかりでなく、スポークに手や服などが巻き込まれにくくなるなど、使い勝手も上がりそうです。
EOQ|EOQ LTD
イギリス出身で香港をベースに活動しているデザイナー、Michael Yangによるコレクション。上写真はJOSEPH TABLE LAMP。中写真の左側にあるアルミの塊を押し出し製法により同写真右側のように成形。シェードの形に削り出していき、サンドブラストや粉体塗装などを施して仕上げていきます。マットで鈍い光沢を放つアルミのシェードから柔らかな光が漏れ出て、大人の上質な空間を演出してくれそうです。下写真は、アルミのシェードをチェコの手吹きガラスで覆ったDub Pendantシリーズ。ソリッドなアルミと、温かみのあるガラスのコンビネーションが素敵です。
ieno textile
ieno textileは、テキスタイルデザイナー南村弾さんの提案する、インテリアテキスタイルを中心としたライフスタイルショップ。南村さんは、ハイムテキスタイルのトレンドセッターとして、ヨーロッパ以外から初めて選出されています。上写真の手前は、南村さんが世界を旅するなかで撮影した風景を、デジタルプリントで生地に施したクッションカバー。個性的なテキスタイルをクッションサイズで取り入れることで、絶妙なアクセントをもたらし、インテリアがワンランクアップしそうです。
▲カーテンクリップにはさまざまなレリーフ柄が。お気に入りの布をクリップで挟んでレールに吊るすだけでも、サマになりそうです。
▲これらの生地は、左から「おてんきあめ」「やし」「こもれび」「そら」「みず」というタイトルが。インテリアに、自然の心地よさをプラスできそう。
ligne roset|ドリームベッド 株式会社
フランスのデザイナー、ブルレック兄弟によるソファ『PLOUM』(プルム)。このソファのためにつくられた生地は、ストレッチ性の効いたウールで、柔らかな肌触りと座ったときのフィット感が魅力。ポリエステル混紡で、生地の強度も高めています。見ただけで体を気持ちよく包み込んでくれそうなデザインで、安心感を覚えて自然と腰掛けたくなってしまいます。同シリーズにラインナップされている『パフ』(写真手前)は、オットマンとしても、ソファとして腰掛けることもできるサイズです。
Manu Mobiles
西洋由来のモビールを、日本の視点から再解釈してつくる名古屋のメーカー。「消費されていくものではなく、ずっと愛され続けるものを」と考えた結果、材料はすべて紙と糸のみでつくることにたどり着いたそう。モチーフは機械でカットし、貼り合わせは一枚ずつ丁寧に手作業で行っているため、大量生産は出来ないとのこと。四季折々の風景や行事などをモチーフにしたモビールは、どれもほっこりとさせられ癒されます。出産祝いなどでプレゼントすれば、贈る人の温もりも伝えられそうです。
sixinch|シックスインチジャパン
ベルギーで2003年にスタートした、コンテンポラリー家具のブランドsixinch。ポリウレタンフォームを使用してさまざまな形に成形でき、独自開発の塗料「フォルムコート」でコーティングしているため、縫い目がなく耐水性に優れています。さらに耐候性にも優れいるので、公園などの屋外空間にも取り入れられるとのこと。柔軟性のある素材で、子どもから高齢者まで安全で安心に使用できます。
SyuRo
SyuRoは、大きく広げた手のような葉をもつ、ヤシ科の植物「棕櫚」(しゅろ)から名付けられたそう。そこには、モノづくりの手が、優しく大らかなものであるように、との思いが込められています。上写真は、大きさの異なる箱が積み重なった入れ物。桐箱のエッジ部分にナラ材を組合わせることで、それぞれの箱を動かす際の移動がとても滑らかに。中写真左側は、石けんの製造中に釜に残ったり、成形時に削られたものを練り合せたリサイクル石けん(左側2つ)と、何度もお湯にくぐらせた、純粋な石けん成分だけの無添加石けん(右側2つ)。他に、使用済み食用油を何度もろ過してつくられた廃油石けんも。どれも肌に優しく、汚れにきびしい石けんだそうです。同写真右側は、ヒノキの枡にひのきの香りの蝋が入ったキャンドル。枡は防炎加工済みなので安心して使えます。下写真は、電球を製作していた墨田区の工場で、型吹きという製法でつくられた、うすはりグラス。軽くて口当たりがよいのが特長。真摯なモノづくりへの姿勢がうかがえます。
ultrasuede®|東レ 株式会社
スエードのような感触のultrasuede®。マイクロファイバーが表面を覆っているため、肌触りがソフトで滑らか。マイクロファイバーは通常染まりづらいそうですが、東レの染色技術で、美しい発色・カラーバリエーションを実現しています。また、放熱特性と吸熱特性に優れているため、夏は涼しく、冬は暖かく快適。耐久性、通気性、メンテナンス性にも優れ、高機能な素材です。
▲裁断や後加工の自由度が高いため、さまざまなデザインに対応できる。
yaetoco|株式会社 地域法人 無茶々園
愛媛県の企業複数社からなるブース、「陽だまり気分 愛媛スタイル」から。yaetocoは、有機農法で育てた愛媛の柑橘と宇和海産の真珠パウダーをメインにつくられたオーガニックコスメブランド。防腐剤や石油由来成分は使用していないため、家族みんなで安心して使えます。ほのぼのとしたイラストと、元気の出る柑橘色のパッケージが印象的。上写真は、伊予柑エキスとみかんの花のハチミツを使用したハンドクリームと石けん。下写真はみかんがネットに入っているような、ユニークなバスボム。伊予柑の精油とみかんの花のハチミツでつくられ、お湯にいれるとやさしい柑橘の香りが広がります。
起立木工 株式会社
起立木工は、静岡県にある企画開発から設計、製造、販売までを行う老舗の総合家具メーカー。無垢材を使用した高品質な家具や、ヨーロッパ直輸入の家具などを扱っています。写真手前は、畳をはずして収納もできる、キャスター付きのベンチ。アイデア次第でさまざまなレイアウトが楽しめます。現在はプロトタイプとのこと。
京東都|株式会社 ドゥオモ
京都の刺繍工房と一緒に、新しい文化継承のかたちや刺繍の可能性を考える「京都発、東京経由〜世界行き。」がコンセプトの刺繍ブランド。ブランド名は、日本の伝統=「京都」と日本の今=「東京」を掛け合わせているそうです。日本の伝統的なモチーフや技法を表現しながら、現代的なデザインやカラーコーディネートと組合わせることで、新しい日本文化を提案しているようです。
小泉屋|株式会社 小泉製作所
おりん、ドアベル、風鈴。職人さんの手によりつくられた、「快音」にこだわったアイテムが揃います。素材や形状により音色はさまざまですが、どれも清々しく、心が洗われるような優しく美しい響きが、暮らしに彩りを与えてくれそうです。
soraca|株式会社 三協リール
自宅、オフィスを問わず、私たちの暮らしはさまざまなデジタル機器に囲まれるようになりました。同時にごちゃごちゃとした機器のコード類は煩雑で、悩みの種になりがちです。そこで、配線を整理して、見た目をすっきりさせるアイテムがsoracaシリーズ。上写真は、携帯やパソコンの充電コードなど、頻繁に使うコードを手軽に巻き取りたいときに活躍する『Roll Clip』。下写真は、煩雑なコード類を収納する『Cord Box Series』。スリットからコードを通すことができ、ボックス内側には、手持ちの電源タップを取付けられます。ボックスは、A4、A5、A4の1/2(縦方向にA4の半分)の3サイズを展開しています。
▲『Roll Clip』は多色展開なので、ボックスの中で色分けして使えばどのコードか一目瞭然。
▲デスク回りの煩雑さがスッキリ解決。A4を基本としたサイズ展開なので、ファイルボックスなど一緒にレイアウトしてもまとまりが出る。
紙のミルフィーユ|三洋紙業 株式会社
紙を幾重にも重ねてつくられた『紙のミルフィーユ』。少しのことでは曲がらないほど強度に優れていますが、紙ならではの優しい風合いも備えています。上写真は『紙のミルフィーユ』を表紙に使用した袋とじノート。中は書き心地のよい薄手の紙が袋とじになっており、ミシン目で切り開けます。アイデアが沸き出してとまらなくなっても、同一ページにどんどん書き連ねていくことができます。中写真は、2色の『紙のミルフィーユ』をずらして接着した『Hopping』。テープで壁に貼ってフックにしたり、テーブルに並べてデコレーションしたりと楽しめます。下写真は組み立て式のiPhone5/5s向けケース。パーツごとに好きな色・柄を選んで組み立てることができます。
ぶっくはうす|株式会社 椿や
家の形をした桐のブックエンドにセルフペイントを施せるキット。インテリアデザイン・外装から施工までを行う株式会社椿やと、株式会社増田桐箱店のブックエンド『ぶっくはうす』、ターナ色彩株式会社の塗料を使用したコラボレーションです。ブックエンドは、本の大きさや重さ、量によって、ずれたり倒れたりと意外と安定しないもの。そこで、薄い本や重い本に対応できるよう、ブックエンドの中に本を収納できる形に。桐製なので、防虫効果や調湿効果もあります。好みのペイントを施せば、オリジナルのブックエンドが完成。今後自宅の壁をセルフペイントしてみたい人が、塗装の練習をするのにもちょうどよいサイズです。
▲読みかけの本は、屋根の部分に被せて置いても。
積ンデコ|株式会社 紙源
積ンデコは、ユーザーが思い通りの形に積み上げて使用できるブロック。蜂の巣構造のペーパーハニカムを段ボールで包んでできています。上写真の左奥は、災害支援ユニット『積ンデコ plus』。取っ手のついた段ボールケースに、災害時に役立つブロックユニットが収められています。重さは25kgと一人でも運搬可能。テープファスナーを採用し、工具なしで簡単に組み立てられ、組み替え方でテーブルや大人2人分のベッドなどになります。外箱はベッドやテーブル周囲を囲う間仕切りに。使用後は箱に収納して保管でき、部分的に修理や交換も可能。不要となれば、同社が引き取りリサイクル・リユースして再度新品に生まれ変わらせられます。
▲傷んだブロックは、同社に修理に出せば、外側の段ボールを貼り替え可能。
ものはら/HASAMI|有限会社マルヒロ
陶磁器の商品企画開発・卸・小売りを手掛けるマルヒロ。4つの自社ブランドを展示していたなかから、2ブランドをご紹介。ひとつめは『ものはら』。"ものはら"とは、登り窯のそばにある、焼き損ないの製品を捨てる場所のこと。長い年月を経た"ものはら”にできた焼き物の地層は、積み重ねられた歴史と伝統技術の上に「今」があるということを一目で伝えてくれる、とのこと。上写真は『ものはら』の『くらわんかコレクション』。江戸時代、庶民向けに低価格の日常食器がつくられた、くらわんか時代をテーマにしており、リーズナブルな価格帯で素朴な風合いが特徴です。ふたつめにご紹介するのは『HASAMI』(下写真4枚)。波佐見焼の陶磁器で、毎年ひとつの国とシーンをテーマにしたコレクションを発表しています。
▲メキシコの風土をイメージして2011年に発表された『SEASON 02』。ボトルに描かれた「POISON」とバツマークがユーモラス。
▲2012年に発表された、フランスのおままごとセットをイメージしたオーブンウェア『SEASON 03』。
▲産業景観の風化をイメージした流れる釉薬と、ドイツのテクノスケープのような工業的デザインのランプ『SEASON 04』。2013年発表。
▲イギリスのパブで使われるようなお酒周りのアイテムをそろえた『SEASON 05』。2014年発表。
過去のリポートは、次のページでご覧いただけます。
■IFFT/interiorlifestyle living 『IFFT/インテリア ライフスタイル』
2009年12月 2010年11月 2012年10月 2013年11月
■interiorlifestyle TOKYO 『インテリア ライフスタイル』
2011年6月 2012年6月 2013年6月 2014年6月
過去のリポートは、デジタルブックとしても配信しています。次の画像をクリックして、ダウンロードしてお楽しみください。
関連記事■次の暮らしのデザイン
| 固定リンク
「次の暮らしのデザイン」カテゴリの記事
- 【リポート】“アフターコロナの新・未来年表” 解説とディスカッションのためのオンライン勉強会(無料)を開催しました!(2020.10.29)
- “アフターコロナの新・未来年表” 解説とディスカッションのためのオンライン勉強会(無料)参加者募集!(2020.10.02)
- “アフターコロナの新・未来年表” を公開。“未来デザイン・テレワークショップ” で未来の暮らしと社会をデザインしよう!(2020.07.21)
- 六本木と前橋。空間を越えて仕掛けられた2つの作品展を訪ね、1つの見方・考え方に囚われない自由を体感しよう!(2020.06.18)
- アーツ前橋で、廣瀬智央 “地球はレモンのように青い” 展を体験しよう!(2020.06.04)
コメント