《2014年6月》Interior Lifestyle Tokyo『インテリア ライフスタイル』商談見本市で見つけた次の暮らしのデザイン
photo, movie & text: Motohiro SUGITA + Tranlogue Associates
2014年6年4日(水)~6日(金)、東京ビッグサイト西ホールにおいて、東京から世界へ向けてライフスタイルを提案することを目的に、インテリア・デザインプロダクトが集結する国際見本市 Interior Lifestyle Tokyo『インテリア ライフスタイル』(主催:メサゴ・メッセフランクフルト株式会社)が開催されました。
開催24回目の今回、27カ国・地域から過去最多の819社(国内:607社 海外:212社)が出展。来場者は27,827名とのこと。本展はB to B/商談見本市であり、一般来場者は入場できません。ご注意ください。
メディアを通して次の暮らしをデザインするトランローグは、毎年同展を取材し続けるなかで、あっ!、と心に響いたユニークで価値ある展示についてリポートします。
なお、トランローグでは同じ出展を2回紹介していません。今回紹介した以外の出展については、本記事の最後に掲載している過去のコンテンツでお楽しみください。
▲合同会社ブランチは、横浜市大倉山をベースに、東京、神奈川などの製造工場と連携。BRANCHは、デザインと技術をトレードしながら、“モノづくり”から“価値を創造する”町工場へと進化するデザインを提供するプロジェクトです。
ステンレスを削り出したSEIMITSU COMA Standardは真円度が高く、3分以上回り続けるとか。複数のコマを戦わせるステージまでもラインナップするこだわりようです。また、アルミ製のONIGIRI Domeにおにぎりを入れれば、潰れずに運べる、とのこと。見ているだけで、つくる喜びと使う喜びが一体となって、ダイレクトに伝わってきます。
モノづくりも遊びの楽しみ方も、次の次元へ。BRANCHは、そんな変化を予感させてくれます。
益子焼|TOCHIGI DESIGN
▲栃木県のクラフトを紹介するTOCHIGI DESIGNでは、「日常を楽しむ生活品」をテーマにつくられる益子焼から、有限会社陶庫による、きのこの傘と軸を連想させる器シリーズが展示されていました。
傘の部分は、小皿や薬味皿、杯に。軸の部分は、壼や小鉢、蕎麦猪口など、様々な使い方が楽しめます。ヨーグルトやチーズの器と、ジャムやハチミツの皿として組み合わせても面白そうです。
▲楔(くさび)1つで鉄板と脚を固定するシンプルな原理を応用したワークテーブル“Hey_hey_ho”は、「洗練された無骨」をテーマにデザインされたとか。脚には、鋤(すき)や鍬(くわ)などに使われる木製の柄をそのまま利用。楔を緩めるだけで分解可能な、たいへん優れものです。
加藤さん、和田さんを共同代表とし、福島市をベースに活動するデザインユニット“TWOOL”が今回の展示全体に込めたテーマは“Garage Living”。自ら何かをつくり出す興奮に満ちたガレージが、そのまま洗練されたリビングへと生まれ変わったような、楽しさに溢れています。
また、先人の知恵を応用することで、聡明で力強い新たな家具や道具を生み出すことができる。そんな可能性に気づかされた展示でした。楽しい未来は、過去からつくり出すこともできるんですね。
▲平安時代に始まったといわれる鳥取県因幡(いなば)地方の因州和紙。1000年の伝統ある和紙づくりの技術を発展させ、世界で初めて成功させたのがAOYA®の“立体漉き和紙”です。
インテリア業界関係者であれば、球体をむらなく漉き上げた照明シリーズや、喜多俊之さんのデザインによるシリーズをご存知の方も多いでしょう。しかし、今回の展示は、そこからさらに発展し、洗練されたものとなりました。
初めに、フィンランドのデザイナーによるオーガニックでやさしい印象のフォルムとカラーの“森MORI”シリーズが、私たち来場者の心を癒してくれます。
次に、ブースの奥で待ち構えていたのが、佐藤オオキさんが代表を務めるnendoのデザインによる“bi-color washi”。新たに開発された、表裏色の異なる「立体2色漉き」によるランプシェードです。手仕事による和紙なのに昼白色光で都会的。帽子のように見えるランプシェード。これら複数の意味の重なりが、私たちの知的好奇心を大いに刺激します。
そして、振り返れば雲や繭(まゆ)のように球状に漉き上げられた定番の照明シリーズ“Natural”が堂々とラインナップされています。
やはり、最後は“Natural”。「本物は違う」「本物がいい」と思わせる展示であり、今回全体のブランディングとしても完成の域に到達した印象です。
また、1万円台から購入できるところもAOYA®の魅力です。
播州刃物|小野金物卸商業協同組合
▲刀の鋳造に始まり、兵庫県小野市周辺に受け継がれる“播州刃物”。約250年間、お客様の要望に応え続けてきた結果、現在でも様々な刃物が手づくりされています。
「1つの刃物に1人の職人がいる」と言われるほど製品は多岐にわたり、また多くの職人に継承されている“播州刃物”をブランディング、プロモートしているのが、小野金物卸商業協同組合。クリエイティブディレクションはシーラカンス食堂とか。
同組合では“播州刃物”専用サイトを設けて、桐箱と播州織物によるパッケージや、製造した職人による「極限まで完璧な研ぎ」によるアフターサービスについて紹介しています。
1人1人の職人と1人1人のユーザーがつながる。また、職人1人ではできないことをグループで達成する。デザインやICTがその力になることを実感できた展示でした。
▲トートバッグの専門ブランドROOTOTE®の、屋内外で使えるトートバッグ型ダストボックス。バッグ内側に市販のポリ袋がぴったり収まるサイズで展開されているとか。
インドア、アウトドでのゴミの移動はもちろん、ファッション性に溢れた表情から、様々な場面、用途に使えます。機能的な特長としては、内側のドットボタンによりポリ袋をきれいに収めることができる点や、濡れた衣類の移動にも使える点など。
絶滅が危惧される動物を描くなど、ポップで切ないアンディ・ウォーホルの作品を用いたシリーズは、ゴミと非ゴミの区別を曖昧にする本商品にとって、ぴったりのイメージと言えそうです。
ゴミに対する意識を変え、ゴミ減量に効果を発揮してくれることに期待します。
2011年6月■interiorlifestyle TOKYO 『インテリア ライフスタイル』の記事はこちら
2010年11月■IFFT/interiorlifestyle living 『IFFT/インテリア ライフスタイル』の記事はこちら
2009年12月■IFFT/interiorlifestyle living 『IFFT/インテリア ライフスタイル』の記事はこちら
関連記事■次の暮らしのデザイン
| 固定リンク
« 動画付きデジタルリポート『Tokyo Design Month 2013|東京デザイン月間で見つけた次の暮らしのデザイン』をダウンロードしてご覧ください! | トップページ | EUの建築資材・建設技術関連企業が集まる展示・商談会開催 »
「次の暮らしのデザイン」カテゴリの記事
- 【リポート】“アフターコロナの新・未来年表” 解説とディスカッションのためのオンライン勉強会(無料)を開催しました!(2020.10.29)
- “アフターコロナの新・未来年表” 解説とディスカッションのためのオンライン勉強会(無料)参加者募集!(2020.10.02)
- “アフターコロナの新・未来年表” を公開。“未来デザイン・テレワークショップ” で未来の暮らしと社会をデザインしよう!(2020.07.21)
- 六本木と前橋。空間を越えて仕掛けられた2つの作品展を訪ね、1つの見方・考え方に囚われない自由を体感しよう!(2020.06.18)
- アーツ前橋で、廣瀬智央 “地球はレモンのように青い” 展を体験しよう!(2020.06.04)
コメント