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2013.12.01

惜しまれながら終了したDESIGNTIDE TOKYOが、SHOWCASE展として生まれ変わりました。動画でリポートします!

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photo, movie & text: Motohiro SUGITA + Tranlogue Associates Inc.

デザイン関連のイベントで盛り上がる10、11月の東京デザイン月間。2013年11月2日(土)〜4日(月)まで、space EDGEでは、「未来へ向けた展示会」SHOWCASEが開催されました。
メディアを通して次の暮らしをデザインするトランローグは、渋谷並木橋近くの会場を訪ね、「思考をトレードするDESIGNTIDE TOKYO」によって東京のデザインシーンを刺激し続けて来たメンバーが、新たにSHOWCASEで何を実現しようとしているのか、取材しました。

初めに主催者を代表して、株式会社E&Y代表取締役の松澤剛さんに伺いました。

▼DESIGNTIDE TOKYOの成果と課題は?
松澤剛さん:六本木のミッドタウンホールで開催した2008年からの5年間は、ひとつの結果と課題を見出せた良い期間になったと思います。もちろん、それは過去の流れがあっての5年間でもあると思います。
ビッグサイトなどでおこなわれているザ・トレードショウは、商品を拡販していく装置。
我々が目指し大事にしていた事は、作家やデザイナーの思考をプレゼンテーションするという場をつくり、思考をトレードさせる装置として機能させること。
目的が違いますが、両方とも大事な装置であると思っています。
我々はもちろん後者ですが、5年間の成果として、ひとつはデザインというものを、ほんの少し当たり前なものにできたという事。これは我々だけの成果ではないですが、少しは担えた気もします。もうひとつはデザイナーの市民権を少しでも拡大させる事ができたという点。デザイナーのアイデアやアプローチが様々な企業や人から求められ、形になって実績をつくっていったということ。各方面から、実績の話しを聞くことができました。
同時に課題も見つけました。日本はヨーロッパなどのいわゆるデザイン先進国のフォローで育ってきました。それゆえ、焼き直しが多く、独自の思考、評価、物すべて、オリジナルという言葉ごと稀薄になり、日本に来ても独自のオリジナルを見る事ができないという状況が海外のメディアやジャーナリストの足を遠ざけました。
もちろん、デザインタイドもそういった危機感の中でやってはいましたが、大きな面で社会に提案するイベントというものの限界も見えた気もします。

▼SHOWCASEという言葉に込められた意味は?
 SHOWCASEで何を実現しようとしていますか?

松澤剛さん:SHOWCASEという言葉は主に「陳列用ガラス箱」そのような認識かと思いますが、我々の捉え方は、「試験的に披露する場所, 試演の場」です。
数ミリでも更新をと、デザイナーは日々戦っています。焼き直しではなく、実験的であって、更新を目指すデザイナーこそ正しいし、残るであろう物を作品として生み出す可能性を秘めています。それを効果的に陳列させたいと思い、名付けました。
今回は日本の作家やデザイナーを8人選んで編集していますが、世界中のデザイン編集者とのパートナーシップを結んで、他の国も同じ様に編集しようと思っています。最終的には5〜10カ国の展開をしようと思います。その状況が生み出す新たな事件に期待して、今回スタートしました。
国内という狭い範囲での評価軸や接続ではなく、海外との接続をはじめから想定し、国ごとで集めることで浮き彫りになる各国の文化背景なども比較しながら、新たな状況を生む機会を目論んでいます。
我々は、日本はもちろん各国の才能を編集し、規模は小さくとも内容を濃く、フットワーク良くスピンオフさせること。これを目指しました。それをshowcaseとして発展させていきたいと考えています。


小さすぎるビル(実寸)|中山英之

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▲LEDライトとスクリーンの間に模型を配置し、室内の模擬的な「敷地」にバーチャルでとリアルをミックスさせたスタディモデル「小さすぎるビル(実寸)」を建てる仕掛け。スクリーンに映し出されたテーブルの下にある実物の椅子に座れば、自ら影絵の世界に入り込むことだってできるんです。「頭の中にある『家』の置き場所を、ちょっとだけ揺さぶる建築」とのこと。

Line Works_「線の引き方次第で、世界が変わる」|織咲誠
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▲動画初めから順に。100年間、挟む単機能の発想だったクリップですが、「Clink!=Clip+Link」は挟みながらモノとのリンクを可能にしました。しかも、従来のクリップと同じ長さの材料を、曲げ方を変えただけで実現。バネを省いてもスプリング機能がある「クロス・アーム・スプリング」。「インデックス・パンチャー」は紙に切り込みを入れることでインデックス(本やノートの小口から飛び出したツメ)をつくる道具。「or-ita段ボール折り曲げ用カッター」は段ボールに折り目をつくるためのカッター。従来は専門工場に依頼しなければならなかった加工が、自ら可能になりました。
織咲さんが提唱するLine Worksは「より少ないものでより多く」を実現するコンセプト。物質や資本に多くを依存せずに利を得るクリエイティブを提唱しています。

Looks Like Music, Tube Map Radio |スズキユウリ

▲異なる音を持つ5つのColour Chaserが、紙の上のラインを辿りながら音を奏でる仕組み。絵を書くことで作曲し、しかも演奏できる多層的でインタラクティブなインスタレーションです。

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▲ロンドンの地下鉄マップのデザイナーHarry Beckは、電気回路図に例えられる、垂直、水平、45°の直線で構成されたTubu Mapをつくりました。それは、世界中の路線図の原型となったと書いても過言ではないでしょう。展示のTube Map Radioは逆転思考により、ラジオ回路をTubu Mapに見立て、複雑なプリントサーキットを親しみやすくしました。音も出ます。

ANGLE |藤城成貴
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▲紙を使ったサンプル模型を手がける藤城さんは、日頃から紙の風合いを生かした家具を試作。今回は、紙製L型アングルを用いて最低限の強度を確保しました。紙の質感は私たちの視覚や触覚から入って、他の素材にはない、やさしい感覚を呼び覚ましてくれます。

土壷|熊谷幸治
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▲「土を器にしていくと壼になる 土を壼にしていくと玉になる 玉のはずだが壼で終わり器を繰り返す 土壼にはまらず玉をつくりたい」とは熊谷さんの言。土に触れると、手も脳も勝手に玉をつくり始める、といった経験をお持ちの方も多いはず。そこに、なぜ?はなく、どれだけの玉になるか、それが問題のようです。人と土の根源的で、しかも究極的なテーマを直感させてくれた展示でした。土を触りたくなります。

PEACE SHADOW PROJECT |長嶋りかこ
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▲「非核への意思と存在を、影として焼き付けるプロジェクト」。被爆された人々の青い影は、実際に子どもの頃に被爆した現場にインストールされています。被爆した瞬間から青い影は、その場から移動したり、またそこへと戻ったりしながら、意思と存在を訴え続けているようです。

Moiré no.2|enamel. 石岡良治, 石岡紗佑里
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▲「インクジェットプリントは版がいらない、という特性を利用し、色が変化するよう長尺にプリント。透明や透過、見えない、霞む、そのようなことを追ったプリントデザイン」。素材を様々に加工してつくられるテキスタイルですが、完成しても素材感や空気感に満ちているのが、他の創作物とは異なる特徴の1つ。そんな感覚を表現しているようです。

連日トークイベントが開催されました。
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▲会場では毎日17:00から19:00まで、出展しているデザイナー・作家、主催者とのトークイベントが開催されました。試行錯誤を繰り返しながら更新される作品と思考。作家や来場者の間で共有したり、トレードしていたようです。

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