佐賀県とオランダ王国。クリエイティブ連携協定締結を動画でリポート!
photo: Shizue INOUE, movie & text: Motohiro SUGITA + Tranlogue Associates
数多くのデザイン関連イベントが集中する10、11月の東京デザイン月間。2013年11年1日(金)、オランダ王国大使館公邸において、古川康(ふるかわ やすし)佐賀県知事と、H.E. Mr. Radinck Jan VAN VOLLENHOVEN(ラーディンク・ファン・フォレンホーヴェン)駐日オランダ王国特命全権大使は、クリエイティブ産業の交流に係わる連携協定に調印しました。
交流の対象となる事業は、
2016年に創業400年を迎える佐賀県有田焼に対して、世界的なデザインの中心地の1つ、オランダ王国のデザイナーとの協働により世界商品へと展開することなど。
メディアを通して次の暮らしをデザインするトランローグは、オランダ王国大使館公邸を訪ね、プロジェクトの経緯と今後について取材しました。
互いの産業を活性化するために、1つの自治体と1つの国家が連携協定を結ぶケースは歴史上希有とのこと。このユニークな取り組みの経緯についてまとめてみました。
急速な縮小傾向にある有田焼の復活を目指し、若手事業者がクリエイティブディレクターでデザイナーの柳原照弘(やなぎはら てるひろ)さんに今のライフスタイルに合った商品開発を依頼したことが発端です。そして、試行錯誤を繰り返して生まれたのが、色も柄もない従来の有田焼とは似ても似つかないラディカルな磁器「1616/arita japan ブランド」における「1616 / TY “Standard”シリーズ」。さらに同氏の知人で今世界を舞台に活躍しているオランダ人デザイナーの2人、Scholten & Baijings(ショルテン&バーイングス)による、有田焼伝統のカラーが際立つ「1616 / SB “Colour Porcelain”シリーズ」をラインナップに加え、ミラノサローネに出品したところ、世界的なインテリア雑誌ELLE DECORが選出する「EDIDA(エル・デコ インターナショナルデザイン アワード2013)」のテーブルウェア部門で見事グランプリを受賞しました。ブランド名の1616は、有田焼創業の年。
この実績が買われ、柳原さん、ショルテン&バーイングスさんのプロジェクトが2016年に創業400年を迎える有田焼と佐賀県における中心的な事業として位置づけられました。さらに、彼らのネットワークを生かし、佐賀県とオランダ王国の連携協定へと拡大発展してきたのです。
今後の展開について現時点では、予算もメンバーも未定ですが、柳原さんと彼のネットワークを中心に進めていきたい、というのが佐賀県の基本的なスタンスです。佐賀県がデザインに期待しているのは、「商品開発」に加え「空間作り」「人的交流」の3本柱からなるプラットフォーム(交流・連携基盤)の形成と、そこから生み出される世界的な商品や情報の発信です。
詳しくは、▲上の動画をご覧ください。
▲オランダ王国大使館公邸(港区芝公園)のエントランス。オランダ王国のシンボルカラーのオレンジがグリーンに映えます。佐賀県のシンボルカラーはグリーンとか。
▲ダッチデザインは、デザイン界では世界的地位を確立しているにも係わらず、一般人へ浸透していない現状を打開するため、公邸内をダッチデザインのショールームへとリニューアルしました。
▲Sun-Room 2では、窓辺に「1616/arita japan ブランド」を陳列。従来の有田焼と異なり、モダンでエレガントな空間に違和感なく溶け込んでいます。
▲メローな色調のなかにヴィヴィッドなオレンジを配し、上品に人目を引く逸品です。
▲柳原さんによる「1616 / TY “Standard”シリーズ」と、ショルテン&バーイングスさんによる「1616 / SB “Colour Porcelain”シリーズ」。両者がお互いの良さを引き立てながら、今のライフスタイルにマッチした、新たな有田焼像を物語っています。
▲ショルテン&バーイングスさんによる「1616 / SB “Colour Porcelain”シリーズ」。シンプルだけど独特な世界観を持っています。
▲17〜18世紀にオランダ東インド会社によってヨーロッパに輸出された有田焼。当時は、正式名称である連合東インド会社のオランダ語 Vereenigde Oostindische Compagnie の略称VOCが有田焼に表記されていました。現在の日常使いの花器や食器としては、確かに華美で重たい印象です。
▲大使館のシェフ、ステファン・フォレさんから佐賀県の食材を使った料理について説明があり、立食パーティーが始まりました。▼器はもちろん「1616/arita japan ブランド」。飾り気はありませんが、料理を引き立て、高品質な印象を与えてくれます。
▲1つ1つはシンプルですが、集合するとユニークさが際立ち、存在感に満ちています。
佐賀県とオランダ王国の連携から目が放せません。2016年に向けた今後の展開に注目です!
関連記事■次の暮らしのデザイン
| 固定リンク
« 動画付きデジタルリポート『2013年 "インテリア ライフスタイル" で見つけた次の暮らしのデザイン』をダウンロードしてご覧ください! | トップページ | EUの建築資材・建設技術関連企業が集まる展示・商談会開催 »
「次の暮らしのデザイン」カテゴリの記事
- 【リポート】“アフターコロナの新・未来年表” 解説とディスカッションのためのオンライン勉強会(無料)を開催しました!(2020.10.29)
- “アフターコロナの新・未来年表” 解説とディスカッションのためのオンライン勉強会(無料)参加者募集!(2020.10.02)
- “アフターコロナの新・未来年表” を公開。“未来デザイン・テレワークショップ” で未来の暮らしと社会をデザインしよう!(2020.07.21)
- 六本木と前橋。空間を越えて仕掛けられた2つの作品展を訪ね、1つの見方・考え方に囚われない自由を体感しよう!(2020.06.18)
- アーツ前橋で、廣瀬智央 “地球はレモンのように青い” 展を体験しよう!(2020.06.04)
コメント