リポート【2012年10月】IFFT/インテリア ライフスタイル リビングで見つけた次の暮らしのデザイン〈第3弾〉#iltokyo
photo, movie & text: Motohiro SUGITA
国際見本市 IFFT/Interior Lifestyle Living 『IFFT/インテリア ライフスタイル リビング』は、2012年10年17日(水)〜19日(金)、東京ビッグサイト東5・6ホールにおいて開催。本展はB to B/商談見本市であり、一般来場者は入場できません。メディアを通して次の暮らしをデザインするトランローグは、 会場に出展社を訪ねて取材し、動画と写真でリポートしています。新しくてどこか懐かしい。知的でしかも技術的に優れたアイテムの数々に注目です。2013-2014年のインテリアとカラーのトレンドをつぶさにご覧ください。なお、リポートは次回に続きます。お楽しみに!
■ 柒+ NANAPLUS
滋賀県彦根市をベースに、仏壇や神棚の製作に係わる近隣企業の集合体がナナプラス。写真は今の私たちの生活と空間にフィットする祈りのための提案です。どのアイテムも華美でなくシンプルだけど、手を合わせ、万物に感謝する気持ちを向ける対象として、優しさに溢れています。上部に彫刻のパタンを施しただけのシンプルな箱(写真下)など、虚像を排するイスラム教にも通じる、小さくても荘厳な世界観を感じさせます。
■feelt/ furnish|DESIGN HEART
上写真・左は、feelt(フィールト)によるハンギングタイプのケース。feel(感じる)とfelt(フェルト)を足してfeelt。2011年、furnishiとsmaut(合資会社すまうと)によってスタートしました。上写真・右は、furnishによるランプシェードのような時計。furnishは、2005年に始動した東京のデザインユニット。商品はすべて足立区、荒川区、埼玉県など国内の工場で生産とのこと。使い方は最後にユーザーが決めるというコンセプトでものづくり、とか。
■Page/ Chair|6474
東京をベースとする4人のデザイナーによるユニットが6474。プロダクトからグラフィックまで、様々なデザインとデザインディレクションを展開。写真上はメンバーのひとり、橋田規子さんによる「Page/ Chair」。積層されたクッションをめくることで高さを微調整しながら同時にカラーバリエーションを楽しむことができる優れもの。クッションの自然なカーブがまた、いい感じです。
■AUN2H4
「アウン」は、2006年にデザインプロジェクトとして設立。 メンバーは、展示デザイン、インテリアデザイン、建築設計をメインに活動するインハウスデザイナー3名。クリエイティブなケミストリーを目指して「ヒドラジン化金」の化学式「AUN2H4」と表記。 写真上はスツールを逆さまにスタックしてハンガーとして利用するアイデア。確かに私たちは、椅子をスタックするだけで満足してしまっていました! 写真下はちゃぶ台の裏側からヒントを得た、脚の長さを変えられるテーブル、&ハンガー(?)。
■MOVING STAND|株式会社浅野デザイン研究所
プロダクトデザインを中心に活動する浅野泰弘さんが提案する、動く伸縮屋台「MOVING STAND」。車輪付きで移動が簡単。折り畳んで持ち運ぶこともできます。納期は約1カ月、参考価格として168,000円(送料別)とのこと。店舗や展示会ばかりでなく、家のガーデンリビングのアイテムとして、家族や友人との集まりで使うのも楽しそうです。
■木村硝子店
木村硝子店は、明治43年創業以来、東京下町のガラス工場や切子職人による手づくりグラスをデザイン、販売。他方、日本、ヨーロッパにおける機械によるガラスの生産は2000年代になると、いよいよその品質と風合いを格段に向上させました。同店でも「木村硝子店セレクト」としてヨーロッパのメーカーの商品を中心に輸入販売を開始。木村硝子店のグラスと、その魅力を際立てる、きわめてシンプルなディスプレイが好感です。
■小泉屋
明治22年、銅器、仏具鋳造作業所として小泉製作所(富山県高岡市)は創業。なかでも快音にこだわったブランドが「小泉屋」です。写真上は「りん」をインテリアに取り入れるオブジェとしてデザインした「pear(洋梨)」。上部は「りん棒」として打ち鳴らしに使います。動画はあじさい、あざみ、ケイトウ、うめ、どんぐり、チューリップをイメージした小さな「りん」と「専用りん棒」。「りん」と「りん棒」の大きさで音色が決まるとのこと。同社は2007年にスペインの建築家アントニ・ガウディによる「グエル別邸龍の門の鐘」を修復。現地と日本をインターネットでつないで音色を調整していったとか。ICTを利用して、日本伝統のものづくりは海外でも活躍しているようです。
■Leaf Thermometer|h concept
コンセプトとアイデアのある生活雑貨を提供するh concept(アッシュコンセプト)。写真は、デザイナーとのコラボレーションによって生まれたデザインプロダクトシリーズ+dの新商品で、色で感じる葉っぱ型の温度計「Leaf Thermometer」。20〜25℃ではグリーン。暑くなると黄色。寒くなると焦げ茶色になります。L(5枚入り)とS(8枚入り)の2サイズで、どちらも840円(税込)。裏面のシールで壁などに貼って使います。
■ORIGINAL BTC ENGLAND| SEMPRE
SIMPLE, ELEGANCE, MINDFUL, PEACEFUL, RELAXING, ESSENTIALの頭文字からネーミングされたSEMPREからリリースされたORIGINAL BTC ENGLAND。英国製にこだわり続けるブランドです。写真は、オーナーのピーター・ボウルズ自らデザインしたペンダント照明。クオリティの高い地元の粘土を焼いたボーンチャイナ、とのこと。写真は36,750円。
■ARMCHAIR 403|Artek
Artek(アルテック)は、フィンランドが生んだ20世紀を代表する建築家Alvar Aalto(アルヴァ・アアルト)が、妻のAino Aalto(アイノ・アアルト)らとともに、1935年に設立した 北欧モダンを代表するインテリアブランド。Artekの社名は、art(芸術)+technology(技術)に由来。写真は、Alvar Aaltoにより1932年にデザインされた「ARMCHAIR 403」。フレームは、ナチュラルバーチ(樺)。シートはバーチ材の成形合板。精度が高く、しかも柔らかい印象が魅力です。
■WOODNOTES
フィンランドのテキスタイルブランドのWOODNOTES。DANSKなどで活躍したテキスタイルデザイナーRitva Puotilaと息子のMikko Puotilaによって1987年に設立。工業用として使われていた紙の繊維「ペーパーヤーン」に着目し、20年かけてテキスタイルとしての開発に成功。フィンランド産ヴァージンパルプで作られた同製品は、長繊維で高密度なため、とても丈夫です。また、静電気も発生しにくく、塵や埃を寄せ付けない、とのこと。柔らかく精緻なテクスチャーと、透過光で見る透明感が高品質感を醸し出しています。
■GETAMA DANMARK A/S|Danish interiors
Danish interiors は静岡県浜松市をベースに、Finn Juhl, Hans J. Wegner, Nanna Ditzelなどの北欧家具を輸入。また、クラシックなデンマークの商品を正規ライセンスに基づき復刻製造、販売を行っています。写真は、ハンス・J・ウェグナーがデザインした家具を製造するデンマークで最も古い会社、GETAMA社による「GE 236」。自然で落ち着いたスタイリングと、ファブリックの高品質な素材感を求める方におすすめです。
■FIELD CANDY, Mero Wings®|DETAIL
動物や食べ物、さらにレンガや板張りのプリントなど、あり得ない絵柄で話題のテント、FIELD CANDY。笑いを誘う外観とは反対に、内部はキャンパーを悩ませる結露が起りにくい上質なコットン仕様、とか。もう1つユニークなアイテムが、本物の丸太と見間違えるほどにリアルなクッション、Forest Collection。こちらも見た目とは裏腹に、コットン素材の快適仕様、とのこと。
■DAN PROJECT|NEED’K
眺めているだけで、その世界に浸れる「アート」であり、自然と気持ちが高揚してくる「モード」であることを標榜するNEED’Kのテキスタイルは、オリジナリティに溢れたファブリケーションブランド。中でも「DAN PROJECT」は、heimtextilのトレンドセッターとして、ヨーロッパ以外から初めて選出された南村弾さんによるアーティスティックなモチーフとカラーが印象的。南村弾さんは本展のCreative Directorの1人。
■Kamiwan|浅倉紙業株式会社
明治30年創業の浅倉紙業は、装加飾、機能性二次加工など、高い技術を継承する和紙専門問屋。写真は1枚の和紙を折り曲げて成型された水を貯える器、Kamiwan。「白 Shiro」は富山県五箇山の手漉き和紙。「黒 Kuro」は高知県産の楮を黒染めしたもの。再生可能な植物利用による器の普及を通して、植物資源大国・日本の再生を果たせれば理想的です。
■ motchu|株式会社大島東太郎商店
モッチュは、乳幼児のおしゃぶりのような、山中漆器(石川県加賀市)によるストロー補助具。漆器は菌の繁殖を抑える、という実験結果が発表されており、また、漆によるかぶれの心配もない、とのこと。安全安心のツールと言えそうです。特筆すべきは、山中漆器の「ろくろ挽き」の熟練技術により、差し込み口から吸い口にかけて、穴の直径が徐々に小さくなるように成形されているため、3〜5mm径のストローを使えること。本品をプロデュースする大島東太郎商店は、石川県デザインセンターブースに出展。
■十川アトリエ/ TIMBER COURT|山形県
山形県からの出展。酒田市をベースとする十川アトリエは、メリノ種とコリデール種の原毛を混合したフェルトを用いて、1つのバッグに3〜5の色を混ぜて独自の色彩を表現したフェルトバッグを製作。続いて山形市をベースにオリジナル家具の製作・販売を行うTIMBER COURT。大人が座る「Plywood Chair」にクッションと足置きを取り付けた「Kids Chair」が人目を引いていました。
▶2009年12月■IFFT/Interior Lifestyle Living 『IFFT/インテリア ライフスタイル リビング』の記事はこちら
▶2010年11月■IFFT/Interior Lifestyle Living 『IFFT/インテリア ライフスタイル リビング』の記事はこちら
▶2011年6月■Interior Lifestyle Tokyo 『インテリア ライフスタイル』の記事はこちら
▶2012年6月■Interior Lifestyle Tokyo 『インテリア ライフスタイル』の「デジタルリポート」はこちらからダウンロードしてご覧ください。
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