2012年、Intrior Lifestyle Tokyo『インテリア ライフスタイル』で見つけた次の暮らしのデザイン 第3弾
photo, movie & text: Motohiro SUGITA
2012年6年6日(水)〜8日(金)、東京ビッグサイト西ホールにおいて、東京から世界へ向けて「ライフスタイルを提案する」ことを目的に、生活空間を彩るハイエンドなインテリア・デザインプロダクトが集結する国際見本市 Interior Lifestyle Tokyo『インテリア ライフスタイル』が開催され、過去2番目の来場者数となる26,485名が来場。なお、本展はB to B/商談見本市であり、一般来場者は入場できません。
メディアを通して次の暮らしをデザインするトランローグは、リポート第1弾として主催者による記者発表会、展示の見どころを紹介するプレスツアーを。そしてリポート第2弾として、出展社の一部を紹介してきました。
リポート第3弾では、次の暮らしを提示するブランドから、さらに数多くピックアップして紹介しています。新しくてどこか懐かしく、また知的で技術的にも優れたアイテムの数々をお楽しみください。
■PRUBONE|株式会社サンライジング
繊維産業の本場、大阪泉州から出展。産業廃棄物となった梅の種を炭化した梅炭を和紙に抄き込んだ「梅炭和紙」と繊維をよった「梅炭抄繊糸 プルボーネ」をマフラーやソックスに展開。梅炭は備長炭より空孔が細かいため、消臭・調湿効果に優れているとか。また、和紙を使っているため軽く、さっぱりとした肌触り。洗濯はもちろん、天日干しすることで効果が持続する優れもの。
■PRISTINE|株式会社アバンティ
「気持ちいい毎日」をブランドコンセプトに、上質なオーガニックコットン製品をラインナップしたPRISTINE。「手入れが簡単で、丈夫で長持ちする愛着の一品は、エコロジーの基本」といった、しっかりとした思想に裏打ちされたアイテムは、肌着やタオルはもちろん、女性用のサニタリーグッズから、赤ちゃん用の布おむつ、ガーゼマスクまで、私たちの毎日を気持ちよくしてくれそうです。
■green supermarket*|明和工業株式会社グリーン事業部
飛び出す絵本やグリーティングカードのように、本やカードの中で本物の植物を育てて楽しむgreen supermarket*。野菜を育てて食べて楽しむ。インテリアデコレーションとして見て楽しむ。友だちに贈って楽しむ。そして、子どもと一緒に、食育ならぬ植育として学べる、楽しくて賢いアイテムです。ところで、事業の母体は水道の配管工事会社。世の中いろいろな展開があるけれど、同社の場合はとてもカワイイ変身といえそうです。さらに現在、貸し農園と長期滞在形のリゾートファームを開発中とのこと。目が離せません。
■tokyobike
取材編集の仕事をしている私たちの会社に、ここ数年ロンドンからニュースレターが届くようになりました。ブランド名はtokyobike。一度聞いたら忘れられないネーミングと、とても好感の持てる姿形に、魅せられていました。そして今回、会場で初対面。やはり東京の会社だったのですね。ロンドンからメールを配信しているのもブランディングの一環だったのか。会場のアテンダントさんに尋ねても「?」でした。野山を駈けるのがマウンテンバイクなら、東京を走るのがtokyobikeというわかりやすさ。テーマは「TOKYO SLOW」。成功するブランドの条件、ネーミングとコンセプトとの一致を見事に体現しています。
■Kenland Linen|株式会社ケンランド
@中小機構 東日本復興支援ゾーン
中小企業の海外展開を応援する中小機構の国際化支援事業「日本意技」は、東日本大震災からの復興に立ち向かう東日本の企業の出展をサポート。トランローグは、山形で63年間ニット製品を作り続けるKenland Linenをピックアップ。20年ほど前にナチュラルな物づくりを目指して草木染めを始めた同社は、リネンと出合い、洗うほどに肌に馴染んでいくその風合いに確信を得て、10年の歳月を経てニットによるリネン製品をラインナップしてきました。1年中着られて洗濯もできて、しかも気品溢れるコレクションに注目です。
■マルミツ陶器合資会社
カワイイ器を等身大の新鮮リアルなインテリアで際立たせるMARUMITSUが、今年も魅せてくれました。食器を企画する時、常に「楽しい食事とは何か」を考えるとか。今年のテーマは「収穫祭」。架空のマルミツファームを舞台に、旬の採れたて野菜を楽しく調理するシーンが再現されています。一度彼らのストーリーのなかに引き込まれたら、しばらく抜け出せなくなるかも知れません。
■OSORO|鳴海製陶株式会社
「調理してそのまま食卓へ」「冷蔵庫&冷凍庫でも保存OK」「驚くほどの収納力」。OSORO(オソロ)は、食生活の無駄や悩みを器自体で解決しようという試み。シリコンアイテムを使えば、電子レンジで直接調理できるためタッパーいらず。ラップも不要です。下ごしらえ、調理、盛りつけ、保存を1つでこなすし、食器洗浄機も使えるため、驚くほどの節水効果。和洋中を問わないスタイリングとスタッキング能力で圧倒的な省スペース。このように手間ひまかからないOSOROは時短の効果抜群、とのこと。パーツの組み合わせは60通り。
■鹿沼組子|有限会社豊田木工所
真岡木綿|真岡木綿会館
@TOCHIGI DESIGN
栃木県を代表する伝統産業から、次の暮らしを彩る技とデザインが展示されてました。トランローグはそのなかから2つをピックアップ。1つは鹿沼組子。精緻な木組みの技を生かし、寿司台や、一見すると角材にしか見えない箱などに展開。もう1つは、江戸で綿といえば真岡綿を指したほど普及した真岡木綿。ペリー来航以来、安価な綿に押され、今では真岡木綿会館でのみ保全再生されています。決して贅沢な反物として復興してくれ、とは書きませんが、せめて日常的なものを自分たちの身の回りで作れる世の中に再生できないものでしょうか?
■無水鍋®|株式会社生活春秋
水を使わず様々な調理ができる無水鍋は、1953年に発売以来、60年にわたるロングセラー。「素材のうまみと栄養を生かしてスピーディーに調理する」ことを目的に開発された無水鍋のポイントは、食材から出る水蒸気が鍋と蓋の間につくるウォーターシール(上写真の断面モデルを参照)。内部の密閉状態と、均一な高温状態が、美味しさと省エネの秘密とか。鍋にもブームがありますが、「これ以上改良するところのない完成品」と自負するシンプルな無水鍋から学ぶものは、少なくありません。
■Cafe Lamp|富士ホーロー株式会社
65年間ホーローに取り組む専門企業によるホーロー製ペンダントランプ。照明の専門家には発想できない、ならではの潔いアイデア。こんなランプが天井のいたるところから吊り下げられていたら、と想像しただけでワクワクします。想像を超えたアイデアと出合える展示会訪問はやめられません。
■nasta|株式会社キョーワナスタ
建築金物の開発・製造・販売を手がける、1930年操業の老舗メーカーが展開するランドリーブランドnastaから、天井下のスペースを美しく有効に活用する提案が「AirHoop(エアフープ)」。天井に取り付けた専用フックに固定し、そこに物干し竿を通して部屋干しニーズに応える優れもの。その他、非常用ライトを吊り下げて防災ニーズに応えるアイテムも。
■SiP.s|SANIDEA
新潟県三条市をベースとするプラスチック製の日用雑貨を取り扱うSANIDEAのインポートブランドがSiP.s。ミニマルでポップな展示を前に、「今回は中国製プロダクツをフィーチャーしました」とのこと。国をあげて高付加価値の国産ブランドづくりに注力するなか、海外における量産という理想と現実が迫力となって伝わってくる。まるでインスタレーション・アートのようです。
■KENJI FUKUSHIMA DESIGN
大阪をベーストとするプロダクトデザイナー、福嶋賢二氏(1982年生まれ)による作品(商品)展示。10点ほどの作品のなかから「home(株式会社東京音響製)」とネーミングされたオルゴールをピックアップ。煙突形の真鍮部分を回してネジを巻き、曲を奏でます。どの作品もユニークですが、生け花用保水フォームを河原の丸石状に削り出したプロトタイプは好感度抜群。知的財産権保護については大丈夫ですか?
■Handy Nuts|TWOOL
加藤正樹氏と和田紘典氏を中心に5人の組合員で構成されるデザイン組合TWOOLによる出展。「日常的に使う道具に非日常の要素を取り入れた、『FUN to USE』なプロダクト」をコンセプトとする彼らの作品には、どれも独自の世界観、とりわけ自然観を感じます。写真は木の実のようなドライバー「Handy Nuts」。2012年秋、活動拠点を福島へ移し、オリジナルプロダクトの他、セレクトアイテムをラインナップするとか。注目したい若手クリエイターたちです。
■totemap|オフィス六・7
トートバッグに地図をプリントしたtotemap。マグカップに地図をプリントしたmapmug。ストーリーがたっぷりと詰まっていながら絵柄としてクールな地図をまとったアイテムは、私たちを地図のなかの時空に誘ってくれます。地図はすべて独自に描き起している、というからどのアイテムにも無理なく馴染んでいる様子に納得です。今回トランローグが注目したのは、地図をタイルにプリントして額装したインテリアアイテムとしてのシンプルな展開。記念品からお土産、プレゼントまで様々な用途に使えそうです。
■KAMIMINO|かみみの事務局
「かみみの」は、デザイナーとメーカーを中心に関わる人みんなで美濃の紙にできることを考えるプロジェクト、とのこと。写真は「山のフードカバー」という名の、とってもカワイくって使えるアイテムと、ランチョンマット、箸置き。その他、懐中電灯のような「WASHI TORCH」、愛らしいオバケ型のフットライト「OBAKE LIGH」など、来場者に人気のアイテム満載でした。資源輸入国といわれる日本ですが、木や草については資源大国。再生可能な資源を活用して、もっと私たちに合った暮らしを追求したいものです。
■こまもり|有限会社グラムス
@グリーンキッズ・プロジェクト
「こまもり」とは、子どもの描いた絵を刺繍するお守りのこと。日本有数の刺繍産地である群馬県桐生市の地場の技術とITをミックスして誕生。「こまもり」製作の流れは、「こまもりギフト」を購入し、似顔絵やメッセージを描き、返信封筒で郵送。その後2週間ほどでお届け、といったサービスです。息子の描いた傑作イラストを紛失した苦い経験のある私は、あの時「こまもり」があれば、と悔やみます。
グリーンキッズは、企業や団体を超えてコラボレーションするベビー、キッズのための総合ライフスタイル・ブランド。
■nocosanai chawan ノコサナイ茶碗|ブルーバーズデザイン株式会社
@グリーンキッズ・プロジェクト
「ご飯粒を最後のひと粒まで残さず食べる子に育ってほしい」という親の願いから生まれた、子どものための有田焼の飯碗。プロデュースしているのは、ママが集まって子ども用品の製造・販売からイベントの運営、住宅や店舗の設計・施行まで家族の空間をつくるブルーバードデザイン株式会社(福岡市)。
■ROYAL FURNITURE COLLECTION
ロイヤルファニチャーコレクションは1988年、東京に開設以来、北欧の家具のみをコントラクトマーケットに販売。「普遍的な椅子」は平均して60〜65年前にデザインされ、世代を超えて愛され、使われ続けています。写真下は、フランスを代表する家具デザイナーで家具メーカーのトリックス社の創業者、グザビエ・ボシャールが1934年にデザインした「Aチェア」。鈍い光沢感と、軽量で屋外使用可能な仕様でロングセラーに。
■東屋
洋食器では以前から出展していたが、和でまとめたのは今回が初めて、とのこと。しかし、初めてとは思えないこなれたプレゼンテーションでブランドイメージを確立。一押しの長崎県波佐見で焼いた「東屋の醤油差し」もさることながら、金属製のお盆やヤカンの、素材の経年変化を見せ、新品でも使い込んでもいい感じになることをアピールする辺りは気が利いています。安心して購入できるポイントです。「東屋ではすべての商品の経年変化を考えたモノづくりを行っています」とか。
■JAPAN STYLE CAFE
@Japan Style
日本独自の美意識や生活様式を背景に生み出されたモノづくりを、世界に向けて発信していくプロジェクト「Japan Style」の会期限定で登場したカフェ。ケータリングは岩手県で通年昼夜放牧を実践する中洞牧場。
■YO no BI|クロスエッジ
@Japan Style
日本各地の伝統工芸をモダンに再編集し、今のライフスタイルにフィットした「メイド・イン・ジャパン」を提案。山形鋳物と波佐見焼のコラボレーションによる「hira」は、パタン化されてきたマーケットに次の刺激を与えてくれそうです。
■日光の手前 鹿沼の すごい 木工
楽しいネーミングの鹿沼の木工グループの展示。関係者の呼び込み(呼びかけ)に誘われブース内を覗くと、そこは狭い路地裏の商店街のようで、期待感が高まります。日光東照宮にまつわる職人技が息づく鹿沼では、400年続いた「鹿沼ぶっつけ秋祭り」で繰り出される「鹿沼今宮神社祭の屋台」に、集約された木工の技を見ることができるそうです。今秋は10月6日(土)、7日(日)開催予定。
■Yoshihara|有限会社吉原木工所
800年前の鎌倉時代に、細く挽き割った木を1本1本組み付ける「組子」が誕生したといわれています。島根県浜田市をベースとする吉原木工所では、組子による壁面のボーダー「ボーダー組子」や、スタンドやブラケットなど、組子による照明のシェードを展開しています。数100種類あるいわれる組子のパタンは、空間を落ち着いた印象に変えると同時に、無限の変化を楽しませてくれます。
■h x TAKUMI
h conceptがプロデュースした、I'm D(岩谷マテリアル)、tidy(テラモト)、hmny & CORGA(ルボア)、on the dot(マルアイ)、炭草花(アイオーディカーボン)、soil(イスルギ)、HO.H.(ホーショー)、hx TAKUMI(匠工芸)による共同出展。写真と動画はhx TAKUMI(匠工芸)による羊にも狼にも見える、座りたいような怖いような、感覚的にも知的にも緊張感溢れるスツールです。
■椿うるおい|まるは油脂化学株式会社
椿うるおいは、椿の名産地、長崎県五島で無農薬栽培によって育てられた椿の実の一番搾りの椿油を仕込み、90日間かけて完成された洗顔用石鹸。まるは油脂化学は、3代・約80年間、無添加の石鹸をつくり続けている、とのこと。椿油の成分オレイン酸は酸化しにくく、きめ細かい肌にも馴染みやすいとか。また、型崩れしにくく、泡立ちもまろやかで、優しい香りがリラックスさせてくれるそうです。椿の実の搾りかすを漉き込んだ福岡県八女の手漉き和紙による包み紙など、パッケージも素敵です。
■KIRMON|丸中株式会社
1300年前から続く織物の産地、群馬県桐生の織物会社、丸中が立ち上げたプロダクトデザインブランド。テーブルウェア、キッチンウェア中心に、超撥水性の着物の生地を使用した製品を提案しています。写真は、保冷剤の入った撥水性の「BOTTLE COOLER」と、保温調理用カバー「FUTON」。「FUTON」に煮立てた後の鍋を入れておくだけで、煮込み料理ができあがります。好相性の着物とファスナーの組み合わせなら、さらに幅広く展開できそうです。
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