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2011.07.05

interiorlifestyle TOKYO 2011(インテリア ライフスタイル )で見つけた次の暮らしのデザイン

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会場:東京ビッグサイト(東京国際展示場)西ホール
会期:2011年6月1日(水)-3 日(金)
震災後初のインテリア・デザイン関連見本市となったinteriorlifestyle living 2011(インテリア ライフスタイル)。3日間で24,085人が来場(2010年は25,851名)。出展社数は521社。うち国内452社、海外69社(2010年は619社。うち国内447社、海外172社)。

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photo/text: Motohiro SUGITA

震災直後とあって被災者支援のチャリティーなどを除けば、特にポスト震災のライフスタイルを想定した提案はありませんでした。多数の出展社の中から新旧、有名無名、高級普及に係らず、「次の暮らしをデザインする」というトランローグ独自の視点でチョイスしたアイテムをリポートします。
なお、今回3時間の取材で訪ねた企画展示とゾーンは「Style Japan」「Textile Inspiration」「ITALIAN PAVILION」「Nordic Lifestyle」「FROM PORTUGAL」「talents」「NEXT」「INDUSTERIOR」「JETRO」。すべての展示を取材すると単純計算9時間はかかる充実の展示ボリューム。
(以下、主催者ホームページより)Interior Lifestyle Tokyo <インテリア ライフスタイル>は、毎年ドイツ・フランクフルトで開催されている世界最大級の国際消費財専門見本市 ambiente<アンビエンテ>と、 家庭用・業務用テキスタイルのための国際見本市heimtextil<ハイムテキスタイル>の2つを母体として、 東京から「ライフスタイルを提案する」インテリアの専門国際見本市。
テーブルウェアからキッチンウェア、ギフト・服飾系アイテム、インテリアグッズ、家具、照明、ホームテキスタイル、インテリアグリーン、デザイン家電、デザインプロダクツまで、ライフスタイルを彩る様々なプロダクツが世界中から集まる見本市として、新商品や最新情報を求める幅広い業界から注目されています。

■KITA.(stile LIFE)
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TRONCO BENCH(写真上):京都北山杉と、リサイクル可能なアルミでつくられたベンチ。HOTEI(写真下):川や湖にはびこるウォーターヒアシンスを活用したスツール(回転機構付)。いずれも喜多俊之氏による自然や伝統の課題をシンプルに解決してみせた明快なデザイン。次の暮らしのデザインに必要な生物資源活用法が提示されている。生物資源は太陽の恵で生長を繰り返す、サスティナブルな資源。

■能作
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写真上:上下2段の窓から吊られた風鈴とテーブルウェアが来場者の目と心をキャッチするブースデザイン。400年にわたり鋳造技術を伝える富山県高岡市にあって、能作は大正5(1916)年に創業。仏具製造に始まり、錫、真鍮、青銅を素材として風鈴、テーブルウェア、インテリア雑貨へ展開。錫は抗菌作用が強く金属アレルギーになりにくい錫だが、能作の錫は純度100%を特徴としている。

■Kasthall
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100年の伝統を誇るスウェーデンのラグファクトリーKasthallは、展示も商品も高品質でクリエイティブ。写真上:Kasthallのファミリーツリー。3本の幹はウーヴンラグ、ハンドタフテッドラグ、カスタールセレクトといった3つの商品群を表す。写真下:EMBROIDERY。厚みのあるピュアウールを用いた、制作途中の刺繍を連想させるパターン。
(以下同社HPより)ハンドタフテッドラグは基布の上からパイル糸を通した針を刺し込んで製作される刺繍ラグ。タフティング(刺繍)は柄と形状の点で自由度が高く、あらゆるモチーフや形をイメージ通りにつくることが可能。

■CUIORA
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日本有数の紙の産地、静岡県富士市をベースとする100%リサイクルされた紙バンドを素材とするインテリア、アクセサリーのデザインブランド。写真中:STRIPE FRUITBOWL。紙バンドをスパイラル状に巻き、撥水加工されたボウル。写真下:柔軟加工されたリサイクル撚紙を編んだクッション。サラッとした紙の風合い。洗濯機での水洗いに対応。

■TAKE Create Hagi
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萩市周辺の竹を使い、曲げ加工を施した家具ブランド。萩の竹の強度は日本一で、除雪作業に使う竹のブラシ、ササラに使われている、とのこと。そもそも竹(孟宗竹)はヒノキの1.5〜2倍の強度をもち、木材と金属と中間的ポジショニングだそうだ。2〜3カ月で生長し、木材並みにCO2を吸収して環境負荷の少ない竹の利用拡大が期待される。

■PiP home/PORTO MARE, RUSTICO/Green Gate(ASPLUND)
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写真上:PiP home。オランダ・アムステルダム発。キャッチフレーズは「ハッピーな人のためのハッピーなアイテム」。PiP(デザイナー兼オーナー、カテリーナの愛称)は、あったらいいな、ほしいな、と思うけど見つからないものをデザイン。「洋」に「アジアン(特にシノワズリ)」をミックスして、ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアで人気の注目ブランド。見ているだけで気持ちが晴れて弾んでくる。
写真中:PORTO MARE, RUSTICO。ポルトガルのストーンウェアは、陶器と磁器の中間的な性質を持つ焼き物で、丈夫で手入れが簡単。1200℃で焼成されたポルトマーレのストーンウェアは、透明感があり、耐久性、耐熱性に優れ、オーブンからフリーザー、電子レンジ、食器洗浄機まで使用可能。実用性に富んだ性能と、味があっても飽きのこない柔らかなデザインは、家庭にも店舗にも使える、次の暮らしに求められるロングライフの品質を兼ね備える。
写真下:Green Gate。「SLOW DOWN TIME」をテーマとするデンマークのホームファブリック&テーブルウェアブランド。19世紀後半のテキスタイルパターンをパリのアンティークオークションで競り落としたことがきっかけで設立され、フレンチデザイン黄金期のクラシックなパターンを北欧流にアレンジ。最大のポイントはクロスシーズンで楽しめるコーディネート。シーズンごとの柄や色の入替があっても、基本的な色調に統一感があるため、長く飽きずにさまざまに組み合わせを楽しめる。とのこと。

■undyed+
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伝統的なチベットの織物をネパールで製作。素材はチベットの羊毛と、ヒマラヤの麓に生息する植物、イラクサ。これらをすべて無染色、手作業で紡ぎ織る。自然そのものの風合いは優しく、しかも丈夫で長持ち。

■O’thentique(MODA)
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2007年にデンマークのデザインとタイの伝統技術のコラボレーションから生まれたO'thentique。アジアの熱帯地域の蔓、根、枝、幹などを用いて1点ずつハンドメイドされた照明は日本初入荷、とのこと。現代の暮らしの中に天然の素材が違和感なく溶け込む、洗練されたデザイン。

■OTTAIPNU
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鈴木マサルデザイン、吉井タオル製造。タオルの表面に小石や竹、砂や芝、エアークッションのような立体感を再現したユニークで、心和むデザイン。タオルを風呂敷のように使う提案も、ありそうでなかった(!?)。商品からブースまで、カラーを生かしたとてもキャッチーな展示で多くの来場者の足を止めていた。特に流行色の蛍光グリーンを全面に出したプレゼンテーションが好感。

■HORM
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さざ波(Ripple)に見立てた、積層合板を削ったくぼみが座となるシリーズのベンチ、RIPPLES。伊東豊雄氏によるデザイン。この他、HORM社はミラノサローネなどで活躍する著名デザイナーの作品を多数コレクション。

■Clef du Vin (PEUGEOT)
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フランス語で「ワインの鍵」という名の魔法のさじ(?)。例えば、Clef du Vinを一定量のワインに1秒浸けると1年後のワインにまで熟成。5秒で5年といった何とも不思議なさじ。多くの紳士淑女が足を止めてテイスティング。個性豊かなワインをつくる気候風土やヴィンテージ。ワインを熟成させるセラー。そこにもう1つワインを変化させる技術と楽しみがプラスされた、と考えれば、これも「次の暮らしをデザインする」アイテムの1つと言えそうだ。短時間でワインを変化させるだけに、目的も含めて正しい使い方に留意する必要もありそうだ。

■AXEL JAPAN
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写真上:Roros Tweed。マイナス40℃にまで下がる厳冬のノルウェー・ロロスの山で、無農薬の牧草で育てられたニューウール100%のブランケット。保温効果が高く、汚れにくく、柔らかな感触が長期間保たれるのが特長、とのこと。見ているだけで思わず触れてみたくなる質感と、人を引き寄せるカジュアルな印象。写真下・右側:LENA REWELL TEXTILE STUDIO。最高級のスコットランド産バージンウールを使った手織りのウールモヘアブランケット。フィンランド生まれのLenaのポリシーは、素材の持つ美しさ、品質の高さ、シンプルでタイムレスな作品を追求すること。いくつかの商品は30年続くロングセラー。エルメスでも扱われている、とのこと。見ただけで、その軽さと暖かさが伝わる逸品。

■LATVIA(Riga Collection)
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「北ヨーロッパの緑豊かな国からの贈り物」というメーッセージで紹介されたラトビアのブース。段ボールや編み物、コットンやリネンなど手づくり感、自然の素材感が感じられる展示。写真は、MUNIO CANDELA。ソイワックスのキャンドルをはじめとするホームアクセサリ。パッケージから商品まで、一貫してエココンシャスな素材だけを用いたオールハンドメイド、とのこと。美しい乳白のキャンドルの底に沈む花とハーブが、炎が燃える時間とともに視覚や臭覚、聴覚までも楽しませてくれるのでは、と期待感を高める。

■OOOBJECT by green & associates (MONOクリエーション)
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写真上:卵の殻やリンゴの屑をリサイクル。バイオ分解化合物と豚毛のバスブラシ。写真下:卵の殻やリンゴの屑、使用済みコーヒーをリサイクルしたヨーヨー。

■DAN PROJECT KeyLing
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「・・・日本の繊維産業は人と機械が不足し非常に厳しい状況にある。ところが技術と品質は世界の一流と同等以上のレベルを持ち進化している。」と書かれたパネル。ブースにはアテンダントはおらず、来場者に美しくもの静かに語りかける展示。視線の先に掲示されたパネルは、日本繊維産業のとてつもないポテンシャル(エネルギー)を感じさせると同時に、それをアクティブなエネルギーに代える人とチャンスが不足していることの悲劇を訴えているのか・・・。黙っていられない、何か行動を起こしたくなる、不思議な展示(!?)。

■korko(GRUPO AMORIM)
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FROM PORTUGAL と題するポルトガルからの出展社を集めたコーナーの一角にあるコルクを用いた小物を扱うkorko。写真下:コルクのまな板。分厚いコルクの左側には、カットした野菜などを集める窪みがあるのが特長。木やプラスチックのまな板と違い、やさしい切れ味を楽しめそうだ。

■SIMPLE FORMS DESIGN
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FROM PORTUGALの一角。ブランド名が示す通り、フォルムは極めてミニマルだが、コルクのテクスチャーが温かみや親しみやすさを発信している。写真は上からバードハウス、スツール、ペンダント照明。これらが各国でデザインアワードを受賞していることからも、「カタチはシンプル、素材は天然素材」が次の暮らしのデザイン・スタンダードなのかも知れない。

■TAKUMI COLLECTION|匠蔵工坊(in Taiwan in Design !)
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台湾パヴィリオンの一角に展示された、孟宗竹でつくられた竹節の名刺入れ。日本とはちょっと違ったセンスで、伝統文化を軽々とスタイリッシュに料理してみせた、その姿に粋を感じる。もっとも、竹片は元来、表面に住所氏名を刻み、名刺として使われていた、というからしっかりと伝統文化に根づいたデザインなのだ。ただ者でない佇まいは、そんなアイデンティティーから醸し出されているに違いない。また、竹が一節ずつ生長していく様子から「節節高升」という四字熟語が生まれたというエピソードをビジネスツールとしての名刺入れの宣伝文句に取り入れる当たりも、中国文化の影響を受けるアジア人として素直に共感させられる。

■TENT
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治田将之氏と青木亮作氏によるクリエイティブユニット。展示アイテムはすべてプロトタイプで、商品化のためのパートナーを探すために出展。写真手前は、「本の上に置くだけでページを開いたままにできる透明な本」こと、開いた本の上に被せる透明樹脂のペイパーウェイト(?)『BOOK on BOOK』。右奥は、「洗濯物を干すように室内でも充電できるソーラー照明」こと『Heya-boshi Lantern』。その他、曲がるストローを応用した『LED Straw Light』や、黒板消しのような『Display Cleaner』など、ストーリーがあり独自の世界観のあるアイデアばかり。

■SyuRo
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様々な職人の集まる台東区にあってデザイン会社から始まったSyuro。缶や箸などのキッチン小物。ノートなどのステーショナリー。バッグや財布、タオルなどのファッション、インテリア小物など。Syuroのフィルターを通してデザインされたアイテムが、専門の職人によってシンプルだけど温かみのある日用品に仕上げられている。

■Ar piece
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「自然素材をつかった 遊びこころのある暮らし」をテーマに、陶器や革のステーショナリーやファッション雑貨を展開。写真は、『透ける土のグラス TOU-GLASS』。信楽の研究所で開発された秀土、とのこと。陶器でもガラスでもなく、白土と赤土が混ざり合った様子は、まさに景色と呼ぶにふさわしい様々な表情を見せてくれる。内から外に向かって光を透過する照明のシェードへの展開で、新たな魅力を引き出している。

■Masters Craft
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マスターズクラフト社がイギリスを旅行中に出合った、元ロイヤルドルトン社のマスターモデラーがつくった精緻の限りを尽くした武者人形。誰にも真似のできない作品の質の高さと、ものづくりにかける執念に惚れ込んだマスターズクラフト社は、彼の作品を再現すべく代理権を取得し、販売を決意。同時に彼の職人気質にあやかって自社をマスターズクラフトと命名。そんな技術と心意気で制作され、すべて箸置きで占められた展示は、まさに圧巻。写真下の右側にはピザ&パン釜とパン形の箸置き。左側には七輪&ちゃぶ台に並ぶ干物や野菜の箸置き。社名から商品、そして展示まで。ここまで世界観が完成されていると気分爽快で、素直に心開かされて彼らの世界観に引き込まれていく。

■マルミツ陶器合資会社
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「食器について考える会社」を標榜する、1950年に愛知県瀬戸市で創業したマルミツ陶器合資会社。STUDIO M’、couvert à la maison、食堂ペコリ、BOBINE、Sobokai Dépôt、sonoなどの事業や店舗を通して、食器にまつわる今日的な提案を続ける。写真は、ブースの隅を切ったコーナーにコーディネートされた、木製のテーブルと椅子、食器棚、そしてシンプルだがしっかりとした存在感の食器たち。これらは、彼らの世界観を端的に伝える、と同時に波長の合った来場者を吸い寄せる。

■Sense Egypt(JETRO)
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日本貿易振興機構(JETRO)が開発途上国の有望産品を日本に紹介する事業の一貫として、エジプト産ハンドメイドのガラス製品を紹介。事前に同機構の専門家が現地企業に対して、日本のライフスタイルに合う実用的な商品デザインを提案し、手づくりの良さを生かした「モダン・アラビック」なデザインに仕上げた、とのこと。実際に日本人が見ても、エジプト的な良さを損なうことなく、とてもユニークでありながら、使える、使いたくなるデザインに仕上がっていた。欲を言えば、白い台に載せただけでなく、日本のインテリアの中での使用場面を想定した展示や写真などがあれば、来場者にさらなるインスピレーションを与えることができたに違いない。

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