復元された105年前の「三菱一号館」。歴史的建造物の少ない東京で、次の暮らしのデザイン・トレンドを作れるか!?
photo/text: Motohiro SUGITA
鹿鳴館をはじめとする建築を設計したジョサイア・コンドルの設計により、明治27年(1894年)に丸の内で初めての近代的オフィスビルとして竣工した「丸の内一号館」が復元され、隣接する「丸の内パークビルディング」の商業ゾーンとなる「Marunuuchi BRICK SQUARE」と共に、2009年9月3日(木)グランド・オープンした。
ここは、日本における近代オフィス発祥の地として「丸の内のオフィス文化」の保全と発展に寄与する新拠点として位置づけられているようだ。
関東大震災や第2次世界大戦により、ことごとく歴史的建造物を破壊された東京は、外国人観光客にとっては、見るべき観光地のない街として素通りされた時期もあった、と聞く。しかし、近年では秋葉原や原宿、表参道など、海外の若者が憧れるエリアも増えた。
丸の内は、銀座から皇居周辺を含めて一体となった再開発で、国内外の観光客、買い物客の誘致を本格化させている。
「丸の内一号館」と「Marunuuchi BRICK SQUARE」は、どのように魅力的なシーンや出来事、情報で私たちを楽しませてくれるのだろうか?
オープニング・イベントに駆けつけた中村獅童を中心に、三菱地所株式会社取締役社長、丸の内商店会会長、三菱一号館美術館館長、株式会社トゥモローランド代表取締役によってテープ・カット。中村獅童はマントに山高帽、ロング・ブーツといった明治ハイカラ・ファッション。
オープン後初めての来場者を迎える、鹿鳴館ファッションの女性スタッフ。来場者にはバラの花をプレゼント。この後、中村獅童から来場者へバラをプレゼントするイベントも。
オープニング・セレモニーが行われた「Marunuuchi BRICK SQUARE」のエントランス。商業施設には珍しい威圧感あるファサード。日頃は静かな丸の内も、この日ばかりは一般来場者とマスコミで賑わう。
「三菱一号館」のコーナー、超一等地に立地する「CAFÉ1894」は、明治当時は銀行営業室として使われていた、とのこと。文字通りに敷居の高い、外階段からアプローチする格調高く品の良い空間だが、メニューは、昼夜共に500円(ドリンク)〜1800円(軽食)程度と、比較的カジュアル。敷居の高さとカジュアルなメニュー構成が物見遊山の行列を作らせない、絶妙なバランスを保っているようだ。雰囲気重視で軽く一服の向きにはお薦めの穴場だ。
「三菱一号館」の階段吹き抜け。冷やりとした空気感、緊張感と懐かしさの同居した雰囲気。
都市・建築展「三菱一号館からはじまる丸の内の歴史と文化」における展示の様子。保存部材や設計過程を示す展示の数々。別室には明治時代のオフィスを再現するなど、とても興味深い。
「三菱一号館」におけるポール・スミスによる「21世紀のライフスタイルを提案するコンセプト展示」の様子。床も壁もプリトされたシートが貼り合わされている。垂直面は色鮮やかでスケールアウトされた花が散りばめられ、地面にはリアルな落ち葉が吹き溜まり、猫が翔る。とても奇妙で愉快な仮想空間だ。「三菱一号館」のキーワードの一つ「一丁倫敦(ロンドン)」の現代的解釈として拍手をおくりたい。「三菱一号館」を含む赤煉瓦街は、当時「一丁倫敦」と呼ばれていた。
赤煉瓦の「三菱一号館」から見た中庭。「三菱一号館」には約230万個の赤煉瓦が積み上げられている。黒い外壁は「Marunuuchi BRICK SQUARE」。中庭は、レストランの席を待つ来場者も憩う。デザインの異なる建物の狭間にあっても、自然発生的な空間とシーン、出来事が違和感なく演出されている。
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