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2009.10.02

2009 米作り体験ワークショップ リポート Part 11: 稲刈り&収穫祭 その1 米づくし料理編

お米が大変身!米と米粉で広がる料理のバリエーション

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カテゴリー:08■ワークショップ Workshop 01 米作り

photo + text: Motohiro SUGITA + tranlogue associates

上陸が心配された台風14号は、収穫祭の2日前に大きく東に進路を変え、当日9月20日(日)は、シルバー・ウィーク初日、収穫祭にふさわしい行楽日和となりました。

収穫祭のメインは、みんなで苗を植え、収穫した米を使った米づくし料理を堪能すること。
料理の多くは、当社トランローグ近くのイタリアン「トラットリア・ダ・チッチョ (TRATTORIA da ciccio、チッチョ=太っちょ)」のシェフに「収穫したコシヒカリを使ったパスタやドルチェなど、面白い料理を作って欲しい!」と頼み、チャレンジしてもらったものです。
昔から米の収穫祭と言えば、「塩のお結び」と決まっているそうですが、敢えて新しいメニューづくりを楽しみました。
そして、新メニューのために特別に用意したのが米粉。米粉を使うことで料理の幅がさらに広がりました。
なお、私たちの田んぼでは、完全無農薬、そして有機肥料さえ使わない、いわゆる自然農法に近い方法で米を作りました。
米自体について、粒の大きさはコシヒカリであり、全国的に不作の今年の天候の割には、標準的か、やや小さめといった印象。味と食感については、水加減と炊き方に大きく左右されるため、一概に評価できませんが、米らしい独特の強い香りと、噛み締めたときの甘みの強さは強烈! さらに完全無農薬、完全に自然の土だけで育てた米で、しかも天日干しの自然乾燥であることを加味すれば、これ以上望めない仕上がりです。
今まで美味しいと思って食べていた米も、その評価の根拠は「粒が大きく整っていて、白く透き通ってツヤツヤに輝いてる」と言った、およそ見た目に影響されたもので、私たちが作った米と比べると、今まで美味しいと思って食べていた米は、驚く程「食感も咽越しもスムースで無味無臭」なのです。大量生産された野菜の味と香りが薄く美味しくない、と言われますが、お米についても言えそうです。私たちの作った米を酒に例えれば「芳醇で濃厚な菊姫の、山廃酵母を使用した純米酒」と言ったところ。言い過ぎかな?

幼児から60歳代まで総勢32名が参加した収穫祭では、美しい里山の景観の下、みんな今まで体験したことの無い「コシヒカリ・イタリアン」の味覚、食感を楽しみ、収穫の秋を満喫しました。
Web Magazineでは、3回に分けて稲刈りと収穫祭の模様をリポートします。お楽しみに!


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トラットリア・ダ・チッチョのオーナー・シェフ、日高さん(左)とシェフの川島さん(右)。日高さんは日本橋の日本料理店の3代目に当たりますが、店を継がずにイタリアンを開業。実は日高さん、和食も得意なのです。日高さんと川島さんは、東京イタ飯ブームの火付け役の1軒、広尾ラ・ビスボッチャの同窓生。同店は、イタリア政府が公式に認定した、イタリア国外にある政府公認のイタリアン・レストラン。当日二人は、店のある新富町(銀座、築地、八丁堀に隣接)からシボレーに乗り、ここ上総一ノ宮駅近くまで1時間で到着。飛ばし過ぎじゃない?

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ワイン・ヴィネガーの利いた米のサラダ。しっかりと噛み応えのある米粒は、ご飯とは違い、パスタのようにお湯で茹でます。私たちの作った米粒が、調理法一つでまったく新しい料理に仕上がる。未だ未だ、私たちの知らない食の世界があるんだ! クリエイティブで嬉しいな! わが家では、早速翌週から酢飯のような米サラダを、主食としていただいています。美味しくて健康にも良さそう!

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写真奥が米粉100%のクレープ。弾力のある新しい食感。日常的に、あるいは週末パーティーで気軽に楽しめる一品。写真手前のバジル・ソースのチキン、トマト・ソースの魚介を包んで食べれば、南欧リゾート気分溢れる御馳走に。チッチョならではの、遠慮のない本場イタリアンの味付けが、優しい米クレープと見事なコントラストでマッチ! リアクションしようの無い旨さです!
米粉は、精米し立ての白米を近所の農協に持ち込み、120円/kgで米粉にしてもらったもの。このサービスは、米利用の拡大を目的に始まりました。今や米粉パンは静かなブームです。私たちもトライしてみましたが、レシピ通りには、うまくできませんでした。しばらくは経験を積まなければならないようです。

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通常はジャガイモとパルミジャーノで作る、ピザのようなオムレツのような逸品。今回は、ジャガイモの替わりにコシヒカリを使用。また、他の料理にトマト・ソースを多用していたため、ここでは味付けにカレー粉を使用。ボリューム感いっぱいの姿形、オリーブ・オイルで焼かれたパルミジャーノの焦げ目、そしてカレー風味が食欲をそそります。実はイタリア人も、密かに日本のカレーライス・ファンなのです。
食べ盛りの子どもに人気間違い無し! 少量でお腹いっぱいになるのが難点か?

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日本でイタリアンの米料理と言えば、リゾットと、このアランチーニ(ライス・コロッケ)が双璧!? 米、モッツァレラ、トマト・ソースなどで作ります。直径4cm程の一口大サイズだから、次々といくつでも食べられます。リゾットは、「日本のモチモチした米では難しい」と言われますが、揚げ立てのアランチーニならホクホクして全く問題ありません。また、シンプルだけど、とてもキュートなアランチーニの姿形は、イタリア風お結びとして、ますます定番化されていくでしょう。
しっかりとした噛み応えを楽しむイタリアンに対して、モチモチとした食感好きな日本人のテイストに合わせるなら、コシヒカリ・イタリアンは、先入観を取り払って概ね合格です。なお、和食、イタリアンに限らず、新米は水加減一つで出来が大きく左右されてしまうため、自分の好みの炊き加減を追求することが重要。1度きりの体験でNGと決めつけないで!


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米を使ってイタリアンで勝負するなら、パスタを制覇しなければなりません。しかし、残念ながら米にはグルテンが含まれていないため、小麦を使った麺のように膨らみません。そこで、米粉と小麦粉を1:1で混ぜてタリアテッレを作りました。しかし、それは、あくまでも優しく柔かい歯ごたえと咽越しで、いわゆるパスタと呼ばれる食感ではありませんでした。
作り立てであれば、素材の旨味を引き出した濃厚なチッチョ・ソースに助けられ、美味しくいただけますが、時間が経ってしまうと、小麦粉のパスタ以上に延びてしまうようです。
「実はこのパスタ、ラザニアの生地を切り揃えた端切れで、試しに作ってみたものでした」と後から聞いて、チッチョのクリエイティビティの高さとチャレンジ精神に感謝しました。私たちが無理矢理作らせてしまったようです。米で「本格パスタ」は難しようです。
しかし、ベトナムのフォーやビーフンのように、いつまでもしっかりと形崩れしない、長粒米を使った麺があることを考えれば、同じ米を使って腰のある麺が作れないものか、とクリエイター魂に火を着けられました。

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イタリアンではお馴染みの烏賊飯です。これは、日本人にも馴染みの味と食感で、文句無しに「旨い!」。濃い醤油味の烏賊飯に飽きたら、トマト・ソースやオリーブ・オイルで味付けしたヘルシーな烏賊飯に緑のハーブを散らし、食卓を華やかに飾ってみてはいかがでしょうか!? 烏賊と米は相性抜群のようです。

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米粉と小麦粉を1:1で混ぜたパスタ生地で作ったフレッシュ・ポルチーニのラザニアです。イタリアでは、味覚の秋と言えばポルチーニ、と言われる程に定番かつ貴重な旬の食材を使った米粉のラザニアは、実に美味しいのですが、当たり前に美味し過ぎて、参加者からは、ほとんどコメントが聞かれませんでした。フレッシュ・ポルチーニを使っただけに、コスト的にはハイ・クラスに間違いないのですが……。
「本来ジャガイモで作るニョッキのようなパスタを米で作り、敢えてモチモチした食感に仕上げ、小麦粉のパスタとは全く違う料理を作り出すのも有り!」と気づかされました。

以上で料理は終了。
次はいよいよドルチェ(デザート)です。
「今日出した料理は、どれも基本的には前菜のようなものです」と川島さんは語ります。それは、私たちのリクエスト「米づくし料理」に応えてくれたものであり、また「私たちもお結びや、鯛飯を作ります」と伝えてあったため、「鯛飯にメインを譲る」という配慮だったようです。

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欧米では定番のライス・プディングに、プルーンのせ。今回日高さんの一押しです。
見た目の素朴さ、大胆さに、「中身で勝負!」という気迫さえ感じさせる貫禄の見栄えです。グリーンやピンクのドレン・チェリーを混ぜ込んだ、ヨーロッパの雰囲気いっぱいの、ボーノな逸品でした。
米料理でお腹いっぱいになった参加者は、デザート前に休憩し、稲刈り体験でお腹を空かせてからコシヒカリ・プディングを堪能しました。

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ウェルカム・ドリンクの食前酒として用意した自家製濁酒(どぶろく)。透明感のある上澄みは、酸味のあるスッキリとしたテイストに。米や米麹が沈殿して白濁した部分は、甘酒同様に甘み、旨味のある味わい。
写真右グラスは、業務用ソーダ・サイフォンで作ったスパークリング濁酒。スパークリング濁酒は、濁酒とは思えない咽越しの良いライトなテイストです。

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番外編です。収穫祭当日、おやつ替わりに鯛飯を計画していましたが、みんなお腹いっぱいの様子だったため中止。翌日収穫完了後にいただきました。
シンプル豪華な和風のスタイリング、米に鯛の旨味が程良く染み込んだ日本人納得のテイストでした。近所の鮮魚店で天然物の鯛を注文して買い付けてもらった鯛の値段は、なんと500円(内蔵処理済み)。素材の安さに驚くと同時に、素材を刺身などに加工した場合の人件費の高さについて、考えさせられてしまいました。

これは米についても全く同様です。
農林水産省によると、日本人一人当たり1年間に消費する米の量は約58kg(=約1俵=約60kg)とのこと。個人的には、これほど食べていない印象です。
約1俵の米の収穫に必要な苗をJAから購入すると、4,000円前後。勿論、お金を掛けずに、前年に収穫した籾から苗を育てることも可能です。なお、私たちの田んぼでは完全無農薬、有機肥料さえ使わない、いわゆる自然農法に近い作り方をしているため、苗以外に材料費は掛かりません。因に自然農法では草取りをしませんが、私たちは、ゴミを投棄されない美しい環境、手作業での収穫のし易さなどを重視して、草取りを行っています。
また、一人当たり1年間に消費する米約1俵を収穫するのに必要な田んぼの面積は、約150平米。つまり約12m四方の田んぼがあれば、一人が1年間に食べる米を作ることができるのです。
4,000円前後の費用を掛けて、12m四方の田んぼで行う米づくりと収穫は、食料自給という生活の安全保障ばかりでなく、私たちの日常に、自然に対する様々な気づき、近隣や遠方からの様々な方々との出会い、収穫や収穫祭などにおける様々な感動をプレゼントしてくれる、とても貴重な体験です。

読者の皆さんも、来年から私たちと一緒に米づくりに挑戦してみませんか?

備考1)収穫祭で食べる米は、次のような段取りで準備しました。
○収穫祭3週間前の8月30日(日)に、初めて米を収穫。
○8月30日(日)〜9月13日(日)までの2週間、ワークショップの納屋軒下で自然乾燥。
○収穫祭1週間前の9月13日(日)に脱穀・選別・籾摺・精米。
○9月17日(木)、トラットリア・ダ・チッチョに米約5kg、米粉約1kgを持ち込み、30人分の料理レシピを決めました。

備考2)濁酒(どぶろく)とスパークリング濁酒は、次のような段取りで準備しました。
○9月13日(日)、精米した米6合を5合分の水で硬めに炊き上げました。
・それを梅酒貯蔵用の8リットル瓶に移し、そこに市販の乾燥させた米麹2袋と、パンづくり用の天然酵母(白神山地産)2袋、ヨーグルト菌(コーカサス産ケフィア)2袋、ミネラルウォーター5リットルを加え、日の当たらない涼しい場所で4日間寝かせました。そして、仕込みから3日目までは1日1回撹拌し、発酵を促進させました。
発酵の材料は、たまたま近所で手に入ったもの。一般的な米麹、ドライ・イースト、生ヨーグルトで充分なようです。米麹は米の澱粉を糖に変え、ドライ・イーストは糖をアルコールに変え、ヨーグルトは酸味を生成し、腐敗を防いでくれるようです。
○9月17日(木)、仕込みから4日後、梅酒貯蔵用8リットル瓶の上部に浮いている米の滓を漉くってガーゼで濾過し、梅酒貯蔵用4リットル瓶に移しました。
・さらに梅酒貯蔵用8リットル瓶の底に沈殿している米を入れないように、上澄みをお玉で漉くってガーゼで濾過し、梅酒貯蔵用4リットル瓶に移し、約3リットルの濁酒の完成です。
○9月19日(土)、市販の業務用ソーダ・サイフォンに、冷蔵庫でよく冷やした濁酒1リットルを入れ、スパークリング濁酒を作りました。

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