銀座・久兵衛でローマからの旧友を持て成す
2週間ほど前「仕事で東京へ行くことになった。少しでも会える?」と旧知の友人からメールが届きました。彼女は、18年前の1991年、ネパールからチベットへの1週間のバスツアーで仲良くなった私と同じ年のイタリア人。久しぶりに会う大切な友人を日本を代表する料理店の一つ「銀座・久兵衛」で持て成すことにしました。
06■東京おもてなし
photo + text: Kazuko TOMOYORI
イタリア政府に務める彼女は、イタリア大統領ジョルジョ・ナポリターノの来日に伴い、関係者の一人としてやってきました。ローマからやって来た旧知の友人を東京で持て成すには、何と言っても江戸前寿司が一番。
そこで、こういう機会でないと私達も行くことがない「銀座の久兵衛」に、思いきって予約することに。
和の趣にシャープでモダンな細長い建物は、東京建築賞優秀賞・日本建築士会連合会優秀賞などを受賞していて、5つのフロアが、少しずつ違う部屋になっていました。前もって予約をしていたのですが、先客のスタートが遅れたため、私達も少々待つ事に。ところが、4階がウェイテングルームになっていて、何とそこは北大路魯山人のギャラリー。魯山人と先代(初代)店主は喧嘩友達だった、とのこと。予期せず魯山人の作品を鑑賞することができ、彼女との再開に華を添えることができました。しかし、彼女にとっては、ニコラス・ケイジなどハリウッド・セレブの来店記事のほうが気になったようでした。
少し待った後、私達は1階の椅子席カウンターへ。寿司職人の研かれた包丁さばきを見ながら、活きのいいネタをつくり立てでいただく江戸前寿司は、エンタテイメントに溢れている、と改めて感心しました。友人も目を丸くしながら「リアルスシ!」と叫んで喜び、最高の東京おもてなしとなりました。
寿司職人さんは、ジョークを交えながら友人に英語で対応し、江戸前の「活、粋、意気」を見せてくれました。
生きたエビを前に、友人は少し引いていましが、きっと忘れられない1日に。
お店の若い方が、師の指示に従って私達を撮影してくれました。見るからに厳しそうな師弟関係ですが、皆、活き活きと仕事を楽しんでいるようで、とても居心地の良い雰囲気でした。段差のある木製カウンターは、奥行き1mほどある立派な一枚板。寿司職人と客、見知らぬ客と客、それぞれ程良い距離感が、気持ち良くコミュニケーションを盛り上げてくれました。友人も私たちも仕事に追われ、昨夜は同じ東京の夜空の下で徹夜。お互い疲れた身体に鞭を打ち、再会とお互いに納得のいく職業に就いていることを喜び合いました。
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