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2009.07.22

第4回デザイン雑貨EXPO/DESIGN TOKYO 2009

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会期:2009年7月8日(水)〜10日(金)
会場:東京ビッグサイト
主催:リード エグジビション ジャパン株式会社
入場者数:19,077人(同日同所開催の国際雑貨EXPO/GIFTEX2009、ベビー&キッズ ワールド2009を含む)

カテゴリー:03■次の暮らしのデザイン

photo+text: Motohiro SUGITA

今回で4回目を向かえるデザイン雑貨EXPO/DESIGN TOKYO 2009。
同時開催の文具、雑貨、ギフト、オフィス用品関連の展示会の中にあって、デザイン・マインド溢れる楽しい商品が盛りだくさんの同展示会では、随所で来場者と出展者の和やかでポジティブな商談場面が見られました。
その場で商品を購入して持ち帰れた事も、来場者と出展社が良好な関係を構築できた展示会成功のポイントのようです。バイヤーにとっては、報告・検討用に商品を会社に持ち帰れる事が販売への近道となるからです。
web magazin TRANLOGUEでは、無数の出展アイテムから、主にインテリア視点で選んだキャッチーな商品についてリポートします。
知的でユーモア溢れるデザイン雑貨は、次の暮らしとインテリアの華となり、実用品となりそうです。

■アクセント
東京都渋谷区☎03-6771-7171
http://www.act-style.co.jp
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アクセントは、「デザイン・素材・品質にこだわったインテリアファブリックメーカー」。トレンド・カラーが目を引くカワイイ動物のクッションが多くの来場者をキャッチ。


■アロン
長野県上田市☎0268-27-6636

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様々な電気製品のプラグ整理に便利な電源プラグタグ。プラグタグには電気製品のピクトとネームを表示したシールを貼って使用。プラグタグは一般家庭で使用する電源プラグほぼ全てに対応、とのこと。


■ヴィルーチェ
大阪市本社☎06-6264-8555/東京開業準備室☎03-6908-4333
http://www.fillico.com
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Fillico Jewelry waterは、SWAROVSKI製クリスタルを使用したボトルに、神戸布引のミネラルウォーターを詰めた「Jewelry water」。ハリウッドのセレブパーティーで絶賛されたのが起源、とのこと。


■キタガワ
大阪市東住吉区☎06-6698-6051
http://www.tie-ups.it
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プラスチック・ベルト「tie-ups」。主な特長は次の6つ。ファッショナブルなイタリア製、100%リサイクル可能素材を使用、防水、アレルギー・フリー、空港内金属探知フリー(ジョーク!?)、ユニセックス&サイズ・フリー。


■クォーターリポート
東京都目黒区☎03-3718-4122
http://www.quarter.co.jp
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スタイリッシュでラブリーなコンテンポラリー・デザイン生地。近年はベイビー・アイテムを展開。また、アパレルだけでなく、家具、雑貨、内装から書籍の装丁まで、そして、様々なジャンルのデザイナーとのコラボレーションが彼らの活動の幅を広げています。


■サイキ一山陶苑
岐阜県土岐市☎0572-57-8131
http://s-ichiyama.com
http://s-ichiyama.com/genjoudaha/
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昭和38年創立。企業テーマは「貴重な土資源を、より有効に生かし、優れた食器を開発 ・提供する」。
展示会で一際注目を集めたのが「決意表明グッズ 現状打破」。卵形の焼物に打破したい内容を書いて叩き割り、同社に郵送すると、祈願後にマグカップなどリサイクル製品として再生される、というストーリー。バイヤーの一人は、「まずは個人的な関心から購入して会社に持ち帰り、会社の皆に報告したい」とのこと。その他、ユーザー自ら着色するユーザー参加型商品も今風で興味深い。


■シーエスディ エーワン パッケージ
名古屋市名東区☎052-703-1887
http://www4.ocn.ne.jp/~csd/
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鉄筋のフレームと紙パッケージの組み合わせで手軽に作れる「工具を使わないファニチャー」は、その名もズバリ「TANA」。上写真のワイン棚は、18本収納でき、赤と白の紙パッケージの2バリエーションで、各7,800円(税別)。


■タイムインハート CAT店
東京都品川区☎03-5463-1201
http://tsic.jp/cat/
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キャッチフレーズは「猫との暮らしをもっと楽しく」。そんなタイムインハートCAT店から発売されたのが「ねこ家具」。オレンジで統一されたねこブース内は、ねこ家具、ねこグッズでパーフェクト・コーディネーション。また、木製家具は旭川、陶製のテーブルウェアやステーショナリーは多治見など、生産地も本格的。上写真のハンモックは、季節性があるので組み立て式、とのこと。


■寺西化学工業
大阪本社☎06-6928-3101/東京支社☎03-3355-0361
http://www.guitar-mg.co.jp
http://www.setodesign.jp
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「?」マークでお馴染みの国民的マジックインキ・メーカー、寺西化学工業株式会社(大正5年/1916年創業)から発表されたのは、アクアテック ツイン(インキ補充式で両用タイプの耐水・耐光マーカー)とペンケースやトートバックがセットになった「paintdots」。今秋10月発売予定。ユーザーがマーカーでペンケースやトートバッグの白いドットに、点描のように着色するセット商品。デザインレーベルSetoによるデザイン。
同社ホームページ上には、ユーザーのお気に入り写真をマーカー色に色分解し、下絵を作成するシミュレーション・コンテンツも開設。これは、あくまでもマーカーによって手塗りを楽しむためのお手本。アナログのためのデジタル、というスタンスを貫く姿勢に共感!


■ドウシシャ
大阪本社/東京支社
http://www.doshisha.co.jp/
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カラー・バリエーションのパワーによって来場者をキャッチする「ドウシシャ ステンレス製真空携帯用マグボトル」。上写真・上段のパステル・カラーが標準色で、下2段がオプション・カラーとのこと。カラー・バリエーションの集客力は相当なものだ。


■ハウス・オブ・ラン
オランダ
http://www.houseofran.com
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ハウス・オブ・ランのランは、オランダの欄。
日本向け初のオランダ・デザイン専門店。オランダライデン大学日本語学科を卒業したヘッセル・ヘッティンガ氏によって設立。デザイン・アカデミ・アイントホーフェンの商品を中心に、その他オランダの様々なデザイナーの商品も提供……とのこと。
かつてオランダは、リートフェルトやモンドリアンを排出した国。近年ではマルセル・ワンダースやドローグが活躍する、世界における最もホットなデザイン・エリアの一つ。彼らのラディカルでユーモアのあるデザインは、ハウス・オブ・ランの商品にも見られる。

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上写真は、鹿の角を連想させる壁付けハンガーについて説明するヘッセル・ヘッティンガ氏。ハンガーを床に置けば、スツールに変身(角が足に、壁側部分が座面に)。

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上写真・手前はソーラー発電ランタン。裏返して使用。奥は、一見キャンドル・スタンドのようだが、キャンプ用ガスコンロを利用。

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上写真・手前は、電球とソケットのようにネジで固定するキャンドル。その奥は、水道管あるいはガス管を連想させるキャンドル・ホルダー。

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■パムク
東京都世田谷区☎03-5760-0017
http://www.pamc.co.jp/
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5秒間でボールのように丸めることができるカリフォルニア発、ポップでカラフルなエコ・バック「フリップ&タンブル 24-7バッグ」。
「フリップ(ひっくり返して)&タンブル(転がる)、ありそうで無かった新機能」とのこと。


■フォーカルポイント コンピュータ
東京都渋谷区☎03-5856-8808
http://www.focal.co.jp
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アップルコンピュータ用製品を主体とした周辺機器やビデオ映像周辺機器の専門商社。アップルコンピュータ株式会社ソリューション営業本部長を務めた恩田フランシス英樹氏が代表。平成元年設立。
展示会で話題を集めたのが、iPodなどモバイル用ソーラー充電器「Solio」。
「太陽光があれば、アウトドアでもバッテリー切れを気にせず音楽を楽しめる!フル充電で10時間再生(展示会ISOT事務局によるプレスリリースより)」


■マイサ
福岡市博多区☎092-513-0113
株式会社マイサ HA*RU事業部(BtoB) http://www.mysa-h.com/
HA*RU公式サイト(ショッピング) http://www.ha-ru.biz/
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HA*RU事業部は、2007年8月

株式会社マイサの新事業部としてスタート。HA-RUのコンセプトは「気軽にアートをお部屋に貼る」。


ヨーロッパにおける

アートウォールの流行を

背景に、

日本の住宅市場向けに



「貼って、剥がして、また貼れる」ミクロ吸盤という特殊機能を付加した

HA-RU interior sticker removableを開発販売。

同時に、家具、建具、照明……など

様々なメーカーとのコラボレーションを目指すHA-RU monoを展開。
マイサ・ブース来場者の商品を選択する眼差しは真剣そのもの。
「私はウェディング関係者ですが、ウェルカム・ボードに使おうと思います。先ほど私と同業者の方は、プレゼントの包装に使いたいと仰ってました」
来場者は各々、HA-RUのクリエイティブな使い方を見つけたようだ。


■monoDO(丸紅インフォテック)
東京都江東区☎03-5665-8677
http://www.monodo.jp
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丸紅インフォテック株式会社コンシューマー営業企画部monoDO推進グループのキャッチフレーズは「生まれたてのアイデアを、あなたへ。」。世界中から個性的で斬新な商品を独自の視点でセレクト。
monoDOセレクトによるブランド(メーカー)の一つ、Hacoaは、1500年の歴史を誇る越前漆器の産地、福井県鯖江市の木工所、山口工芸が製作。
Hacoaの「木ーボード」は、タイピングキーを含め、外装すべてが木製のキーボード工作キット。完成品での販売も有り、とのこと。
デジタルギアが伝統技術によってモダン、ナチュアルなインテリアに溶け込む。


■ミケラ・ムウト
東京都西多摩郡☎042-556-0921
http://mikera3124.com
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デザイン雑貨の展示会にあって、卓越した独自技術で異彩を放つ、FRP造形・美術造形企業の株式会社ミケラ・ムウト。
スケッチによるアイデアから施工後の管理・補修まで
一貫した業務体制。キャラクター模型から巨大モックアップまで、あらゆる立体造形をプロデュース。


■ワークボックス
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個性的でカワイイHot Water Bottle カバー、つまり湯たんぽカバーが来場者のハートをキャッチ。


■ワンダウェイ
東京都杉並区☎03-6768-4646
http://www.wandaway.com
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ペットのマナーポーチとグッズの販売を手掛けるワンダウェイ。ワンダウェイは、“遊び心満載なデザイン” “実に実用的” “誰もがTRYできる価格設定”の3つを通して「丁度いい」にこだわる、とのこと。
商品は、「ワンダクン(手ぶらでお散歩ウンチポーチ)」「お散歩BAG(見た目よりうんと便利なお散歩専用BAG)」「消耗品」など。
商品もブースもスタッフも、すべてが明るくポジティブなブランド・イメージで統一。


■CALFURN MANUFACTURING PHILS
フィリピン
http://www.calfurnph.com/main.php
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ラタン家具中心のフィリピン企業。中でもユニークなのが、バケツのように大きなラタン製キャンドル・ホルダー(バスケット)。半屋外空間で使用すれば、アジアン・リゾート気分満点。


■CSM ENTERPRISE INTERNATIONAL
フィリピン
http://www.globalsources.com/csmintl.co
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白い陶磁器を扱うフィリピン企業。木の枝、あるいは珊瑚のようなハンガーに蝶や花、折り鶴などの陶磁器をハンギングするディスプレイに注目。シャンデリアなど、インテリア照明のような使い方のアイデアが広がる!


■FADTRONICS INNOVATION
香港
http://www.fadtronics.com
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音楽周りの個電アクセサリーが中心の香港企業。世界的トレンドを取り入れた好感度の高い商品、ブース……ブランディング。スタッフもフレンドリーで親切。


■NATURES LEGACY EXIMPORT
フィリピン
http://www.natureslegacy.com

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「ホーム&ガーデン」を商品カテゴリーとする、「再生資源を使用して作られたエコフレンドリーな製品」を製造するフィリピン・メーカー。リサイクル素材の結合には、水性接合剤を使用している、とのこと。リサイクル素材を使用して、再度ナチュラル素材っぽい製品に仕上げている点が面白い。

■ONMII
ノルウェイ
http://www.onmii.com
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透明アクリル・ボードに熱可塑性ポリウレタン性花びらを挿すだけのシンプルで美しい、ホームならびにショップ向けジュエリー・オーガナイザー(ジュエリー整理用ボード)。
ネックレス、ブレスレット、ピアス、イヤリング、指輪など様々ジュエリーを、様々な方法で花びらに掛けて使用すると、清楚で華やぎのあるインテリア空間に。
詳しくは同社ホームページをご覧ください。

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2009.07.10

ドイツのアート誌「Objects」に面発光LED照明airLUCE(エアルーチェ)が紹介されました

ドイツ・ベルリンの出版社Illustrativeから発売された、New Art Magazine “OBJECTS”のNo.2にトランローグのデザインによる面発光LED照明airLUCE(エアルーチェ)シリーズが紹介されました。

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Craftpunk – New Art Magazine OBJECTS releases N°2

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2009.07.07

vol.1 イタリア トスカーナ サン・マルティーノ村

カテゴリー:05■暮らしのかたち/旅で出会った家とライフスタイル
photo/text: Motohiro SUGITA

26年前の夏(1983年)、トスカーナの片田舎に迷い込んだ私を、一宿二飯でもてなしてくれた老夫婦のリビアーノとイソリーナ。
日本とイタリアの小さな国際交流を通して見えてきた、それぞれの国の文化に根付いた家とライフスタイル。26年前のトスカーナでの出会いは、各国を取材しながら住環境ビジネスをデザインする、私の仕事人生を決定づけた。
そして、私たちは25年ぶりに、奇跡の再会を果たした。

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憧れのイタリア、未知のトスカーナを目指して

当時二十歳だった私は、京都で一人暮らしをしながら、大学でプロダクト・デザインや建築について学んでいた。
幼児期にカトリックのマリア幼稚園に通っていた私は、大学でイタリアを起源とする古代ヨーロッパからルネサンスの建築と彼らのライフスタイルに興味を抱いていた。
そんなある日私は、第2次世界大戦下のトスカーナで繰り広げられる人間模様、愛について深く、クールに描いたタビアーニ兄弟の映画「サン・ロレンツォの夜」を見て、その映画の魅力に取り憑かれ、舞台となった村を訪ねる決意をした。
そして、東京青山にあるイタリア政府観光局を訪ね、映画の舞台サン・マルティーノ村の場所を突き止めた。

大学2年の夏休みに、私はサン・マルティーノ村を目指した。

フィレンツェからローマに向う鉄道の途中、山の中の無人駅で下車した。
人家の無い、急峻な坂道を歩いて登ると小さな集落があり、街の中心のバールでサン・マルティーノ村への行き方を教わった。
しばらくすると、バール店主の叫び声に促され、1時間に1本しかないローカル・バスに飛び乗った。

緩やかな丘が延々と続く清清しい丘陵地帯を走ると、羊飼いが操る羊の群れに何度か道をふさがれた。まるで映画の1シーン。当時はキャンティ・ワイン、今ではスーパー・トスカーナで有名なこの辺りは、人気のない田園地帯だった。ところで、サン・ロレンツォの祝祭日8月10日前後が、その年のワインの善し悪しを決定付ける重要な期間であることから、聖人ロレンツォは、ギリシャ神話の酒神バッカスに対して、カトリック世界のワインの守護聖人になったそうだ。
未だ見ぬ、そして間近に迫ったサン・マルティーノ村への期待が、徐々に高まっていった。

サン・マルティーノは廃墟の村?

太陽が傾く夕刻、私は目的地最寄のバス停で下車した。
人家は疎らだった。
イタリア政府観光局のイタリア人スタッフに赤ボールペンで記してもらった、地図上の大雑把な印を頼りにバス通りから小さな民家が肩を寄せ合う集落へと足を踏み入れた。


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(●写真)バス停からサン・マルティーノ村へ向かうアプローチ。

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(●写真)サン・マルティーノ村の街並。石造りの家では、ground floor(1階)は湿気が多いため、1st floor(2階)を玄関とし、2階以上を住居とするケースが多いようだ。

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(●写真)サン・マルティーノ村、教会前の広場で村人に囲まれる。

しばらくすると、私は見知らぬ異国の訪問者を不信に思った村人たちに取り囲まれ、体格の良い快活そうな女性に英語で話し掛けられた。

私はこの地を訪ねた理由、そしてこの地を教えてくれた日本在住イタリア人について一通り話した。
「何てあなたはクレイジーなの!イタリアにはサン・マルティーノ村はいくつもあるわ!本当にクレイジーだわ!」
彼女は呆れて尋ねた。
「あなたは日本で何をしているの?」
「僕は大学でデザインを勉強しています」
「まぁ。天才じゃない!」
当時イタリアでは、大学に通い、イタリアでデザインに相当する建築を学ぶ者は、限られた人間だったのだ。
「ところで今日はどこで寝るつもりなの?」
「この広場の一角を貸してください。私は毎日駅で寝袋で寝ています。全く平気です。明日朝出て行きます。ご迷惑はお掛けしません」
すると、後ろで一部始終を見つめていた老紳士が彼女に話し掛けた。

偶然?運命?謎の村で謎の出会い

「あなたは本当にラッキーね!あちらの紳士が今晩泊めてくれるそうよ」

こうして私はリビアーノ一家と出会い、広場近くの彼らの家に招待された。
そして、一息つく間もなく彼の奥さんイソリーナの手作りの肉料理と野菜スープをいただくことになった。
お互い言葉が通じない私たちは、料理や食材の名前を何度も繰り返しながらコミュニケーションした。
「カルネ、ミネストラ……」
このとき覚えたイタリア語は未だに記憶に刷り込まれている。
言葉は通じないが、お互い古くからの親友、あるいは親戚のように、心から食事を楽しんだ。見ず知らずの初対面の人間同士が、お互いを疑う事無く自然に付き合えたのは、互いに己に対する自信と、他人への愛を持ち合わせていたからだろう。
しかし、私たちをトスカーナの山奥で引き合わせた、その運命の糸を紐解くには、25年の歳月を待たねばならなかった。

食事の最後に、私は彼らから本場イタリアのチーズを勧められた。
初めていただく羊のチーズ、ペコリーノは味も匂いも強烈で、当時の私は、ただ顔を赤くして「No Grazie!」と断ることしか出来なかった。
そんな私の表情を覗き込み、彼らは皆、腹を抱えて笑い転げた。幸せな食卓だ!
今では私にとってペコリーノは、イタリアン・ディナーには欠かせない味覚の一つだ。

リビアーノ夫婦と同じくこの村に滞在していたもう一組の老夫婦、オットリーノとマリアも、共に食事をしながら、終始私を優しい眼差しで見つめ、心から出会いを喜んでくれた。
普段ボローニャに暮らしていた彼らは、17世紀に建てられたこの家を、夏の家として利用していのだった。何とも余裕のあるライフスタイルではないか!
私は、彼らに自分の生い立ちや旅の目的を説明するため、日本から持参した私の幼稚園から大学までの写真を見せた。

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(●写真)リビアーノたちの夏の家のダイニングにて。左からイソリーナ、リビアーノ、私、オットリーノ、ロッセーラ、マリア。

食後に映画ロケ地をリサーチ

食事が終わった頃、夕刻に村の広場で出会った女性、ロッセーラが私を迎えに来た。
ロッセーラは、フィレンツで観光業に従事していた。だから、英語に不自由が無かった。
「私たち、さっきまで赤の他人だったよね?」と戸惑う間もなく、私は彼らのクイックなペースに心地よくも完全に呑み込まれていった。

ロッセーラの夫ジョバンニが運転するフォルクスワーゲン・ゴルフに乗り込み、隣村のバールまで5分程走った。
私たちは、バールで映画「サン・ロレンツォの夜」を知る村人を探した。

すると、運良くチェザーレという男性が映画を見て知っていた。
そしてチェザーレは、またもや私たちを彼の家に招待してくれた。

そこで私は、映画の舞台サン・マルティーノ村は、実はピサ近くのサン・ミニアート村である、という事実を聞かされた。
初めは耳を疑った。しかし、真実らしい。

サン・ロレンツォは、火炙りにされる図像がシンボルの聖人。
3世紀キリスト迫害時代、ローマ法王の殉教(処刑)に伴い、貴重品を差し出すように求める領主に対して、聖人ロレンツォは、「私の貴重品は弱く、貧しき信者たちです」、と逆らったことから火炙りにされたそうだ。
チェザーレたちイタリア人は、そんな聖人ロレンツォのことを、恐れと親しみと込めて「ファイアー・オブ・サン・ロレンツォ」と呼んでいるようだ。
映画「サン・ロレンツォの夜」には、支配される村人が支配するムッソリーニ(ムッソリーノを支持するファシスト党)によって教会に集められ、サン・ロレンツォの夜に砲弾を撃ち込まれる、という悲劇的1シーンがある。つまり映画は、聖人ロレンツォのアレゴリーとして展開されていたのだ。
また、イタリアでは、聖人ロレンツォの祝祭日8月10日に最初の流れ星に願うと叶う、と伝えられている。映画では、主人公の少女チェチリアと、母親となった彼女が星に願いを掛ける場面が詩的に描かれているのが、美しく印象的だ。

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サン★ロレンツォの夜 [DVD]

「『サン・ロレンツォの夜』」は、コミュニストの映画だから、私は嫌いだ!」
この後ローマの食堂で同席した男性は、この映画についてこう評価した。
「僕はコミュニストではない。しかし、あの映画は素晴らしい!……」
私は反論し、説得した。しかし、男性は微動だにせず、無言で拒絶した。
日本では私を含め、この映画に対して、イデオロギーに係らず、「これぞ映画。映画はこうあるべき」と最高の賛辞を贈るファンもいる。
戦争の渦中にいる一人の少女チェチリアのニュートラルな視線を中心に描きながら、老人、妊婦、ファシストの親子、レジスタンス、神父……様々な等身大の個人の喜怒哀楽を、卓越した映像詩にまで昇華させた監督タビアーニ兄弟と、彼らを通して「死ぬな!生きろ!愛せよ!」と訴えかけるイタリア文化への興味は尽きない。

カトリックとコミュニスト

イタリア人にとって、繊細だが無視できない重要なテーマなようだ。
リビアーノとイソリーナは、映画「サン・ロレンツォの夜」についてどのように考えているのだろうか?
因に、彼らの暮らすボローニャは「赤い街」と呼ばれる。ヨーロッパ最古の大学のある革新系の街で、赤い屋根瓦の街並が特徴的だから、とのこと。
しかし、多くのイタリア人にとって政治と宗教、そして個人的な生活心情は、複雑に絡み合い、決して単純な思想に帰結することはないようだ。
映画「サン・ロレンツォの夜」の複雑な面白さは、まさにイタリア文化そのものの味わい深さのように思える。

チェザーレから再び食事とワインを勧められたが、流石に満腹で遠慮した。
「それなら」と彼は私に、ヴィンサントらしきデザートワインやサラミをお土産にくれた。

あちらで、そしてこちらで歓待された結果、その夜は最高に幸せな気分で、相当に酔っていたに違いない。
リビアーノの家に戻ると直ぐに、私は大きな部屋で一人ベッドに潜り込んだ。

冷やりとする石造りの部屋に、清潔だが極めて簡素なベッド。
今私は、まさにチェチリアが星に願いをかけた、あのトスカーナに包まれていた。
「8月10日サン・ロレンツォの夜」前後のこの時期は、ペルセウス流星群がトスカーナの夜空に舞うそうだ。
ガリレオの時代から「トスカーナの空は低い」と言われる程、トスカーナの星空は、地上間近に感じられた。

出会ったばかりの親友とドライブ!

翌朝目覚めると、イソリーナは私を手招きし、石造りの家の窓を開けて見せた。
目の前に現れたのはトスカーナの抜けるような青空……ではなく、なんと秘密の地下教会だった!
見下ろすと、教会の祭壇にはすでに朝から数多くの蝋燭が灯されていた。
小さな村の小さな家から見る教会は、とても荘厳で広大に見えた。
ここは一体何なんだ!?

朝食を済ませるとリビアーノは、私とロッセーラを彼の運転するフィアット・パンダでシエナまで連れて行き、3人で小さな観光ツアーを行った。
彼らは、私に相談すること無く、「今日はシエナ観光の日!」と決めていたのだ。
私は、この時からホスピタリティーに溢れ、マイペースな彼ら、イタリア人が大好きになった。

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(●写真)私の本来の目的地、サン・ミニアートへ向かう途中、シエナを目指す。リビアーノのパンダも、ジョバンニのゴルフも、サン・マルティーノ村の狭い路地を行き来する適性サイズのようだ。

シエナの中心、世界で最も美しいと言われる、扇型ですり鉢上のカンポ広場(現在は世界遺産)には、1週間前にパリオと呼ばれる競馬が行われた際に敷かれた土が残っていた。
空間全体が熱狂に包まれた、その時の余韻が感じられた。

その後リビアーノは、私が本来行くべきサン・ミニアートに向かうため、私を駅へと連れて行き、切符を買ってくれた。
私は、ヨーロッパの鉄道を期間中乗り放題できるユーレイル・パスを持っていたが、私を制止して嬉しそうに切符を買い渡してくれるリビアーノの親切をありがたく受け入れた。
ところで、マリアも私がサン・マルティーノ村から旅立つ朝、5,000円程のお小遣いを私の手に握らせた。
しかし、決してお金に困っている訳ではない私は、彼女の親切に深く感謝の気持ちを表し、丁重にお返しした。

本来の目的地、ピサ近くのサン・ミニアートに着くと、そこはトスカーナ特有の強烈な陽射しで、朦朧とした意識の中、山上にも関わらず、どこか海岸近くに居るような錯覚を覚えた。
そんな時計が止まったような真夏のサン・ミニアートで、映画そのままの内戦の傷跡が残る教会の前に立つと、私は人間の営みの悲しみや無常を想う気分にさせられた。
反面、サン・ミニアート最寄り駅から丘の上の街サン・ミニアートを目指してヒッチハイクする私を、一度は断ったものの、引き返してピックア・アップしてくれた、若く美しい女性。サン・ミニアートを散策する私に、親切にも無償でガイドしてくれた若く無口な男性……。彼らは困った他人を放置できない、愛すべき何かを持っているようだ。
はじめての海外旅行で見知らぬイタリアの人びとから親切にされた私は、自分もこうありたい、こうあるべき、と深く心に刻み込んだ。
私にとってサン・マルティーノ村こそが、本来の目的地だったようだ。

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(●写真)17世紀に建てられた民家の1st floor(2階)から旅立つ私を見送るマリア。

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(●写真)映画ロケ地、サン・ミニアートのオフィシャル・ガイド。教会の塔が青空に聳える典型的なトスカーナの山岳都市。

次回は、どのようにして私たちが25年ぶりに再会を果たしたのか、お話します。(つづく)

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2009.07.02

2009 米作り体験ワークショップ リポート Part 7: 田植え&米作り作業の最適ウェア+からだメンテ・ストレッチ

photo: Kazuko TOMOYORI
illustration: Motohiro SUGITA
text: Motohiro SUGITA

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■田植え&米作り作業の最適ウェア
半袖半ズボンでの田んぼ作業は気持ちいい。しかし、朝露が乾く前、そして曇りの日にはブヨなどの虫に刺されることがある。かゆみは3日我慢すれば納まるが・・・。

そこで、手仕事による米作り作業に最適なウェアとはどんなものか、考えてみました。
正解は、全身を覆って防虫効果があり、発汗効果も高く、水(汗)に濡れることを前提に作られ、しかもストレッチが利いて動きやすく疲労軽減効果のあるウェア。さらに、楽に早く洗濯乾燥できれば完璧です。

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それはズバリ、上写真のスポーツ・ウェア(パフォーマンス・ウェア)という結論に至りました。
但し、上写真のスポーツ・ウェアではアブやハチから身を守ることはできません。これらからの完全防備を目指すなら、防虫スプレーその他の防虫グッズを身に着けるか、あるいはレインコートなどを身に纏う必要がありますが、真夏の作業には向いていないでしょう。
上写真のスポーツ・ウェアは、近くの大型スポーツ・ショップで上下各3990円(合計7,980円)と決して安くありませんでした。しかし、今のところ、これ以上条件に合うウェアを知りません。因に高いウェアになるとシャツだけで1万5千円以上しますが、運動性能と疲労軽減効果が抜群、とのこと。
なお、見た目の善し悪しはモデルに因ります(悪しからず!)。もう少し見た目にこだわりたいなら、パンツはブーツ(田んぼ用長靴)に合わせて黒、シャツは白や赤でコーディネートするのも有り。スポーツ・ウェアだからカラーや細かなデザインの違いも豊富。なお、あくまでもオシャレ最優先で決めたいなら、AIGLEなど、シックでカラフルなアウトドア・ブランドでコーディネートするのが無難。何れにしても田んぼでは人目につかないため、見せたい方には圧倒的に機会不足!
気のせいかパフォーマンス・ウェアを着用して畦道を行くと、自然と小走りになるから不思議です。

なお、田んぼ作業には足と脚にピッタリ・フィットする田んぼ用長靴が不可欠です。田んぼ用長靴は足にフィットする分、脱ぐ時は一苦労です。一般的な長靴では、泥に足を取られ、足だけ抜けて長靴が抜けなくなります。サンダルも同様です。
「そんなことないよ。大丈夫だよ」と言って田んぼに入った直後、一般的な長靴やサンダルを田んぼに取られ、その場でリタイヤされる方が多いので要注意です。

■からだメンテ・ストレッチ
3時間以上泥の中で前屈みの姿勢を続けると、流石に腰にきます。大袈裟な人なら「腰が固まって動かず、また、痛くて動かせない」と表現する状態になります。
そこで、私は草取り作業の後や時間のある時に、腰痛のリハビリ用ストレッチで腰をメンテしています。おかげで腰は快調。

からだメンテ・ストレッチ(腰・首その他手脚のストレッチ)を図解しながら紹介します。農作業にはからだメンテ・ストレッチが不可欠です!
腰のほか、肩のストレッチなどを取り入れながら、自分に合ったからだメンテ法を見つけてください。

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01●両手を広げてリラックスします。

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02●勢いを付けずゆっくりと頭を右側に向けます。首の骨や筋肉を伸ばすイメージです。
03●02と同時に、勢いを付けずゆっくりと右足を左方向に伸ばします。背骨や脚骨を伸ばし、腰の筋肉を伸ばすイメージです。
04●02、03の状態を保ったまま、ゆっくりと1〜8、または10くらいまで数えます。

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05●02、03とそれぞれ反対方向に、首を向けて足を伸ばし、ゆっくりと1〜8、または10くらいまで数えます。

06●以上02〜05をもう一度繰り返します。

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07●前屈ストレッチで腰と背中、太ももとフクラハギを伸ばします。

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08-1, 08-2 ●背筋ストレッチで背中と腰を伸ばします。

※注意!:私は、一日に「02〜05を2セット×1、2回」行っており、十分な効果が出ています。上記「からだメンテ・ストレッチ」は、私の身体の状態に合ったストレッチです。人によっては、上記「からだメンテ・ストレッチ」が不適切な場合があります。腰痛や首のトラブルなどをお持ちの方は、専門医師の診断を受けた上で、適切なリハビリを行うようご注意ください。

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