白熱電球がなくなる日
text, photo: Kazuko TOMOYORI
今回は消滅間近の白熱電球と、それに換わるLED電球についてリポートします。
(●写真)東京ビッグサイトで開催された「ライティングフェア2009」三菱電機ブース内、白熱電球製造販売中止の案内板
昨年2008年のミラノサローネ(世界家具見本市)のイベントでも「Green energy design」が掲げられ、2007年100%designロンドン(デザインの展示会)では「Sustainability」がキーワードになり、デザイン界でも持続可能な社会への転換は大きなテーマ。地球温暖化対策に消極的だったアメリカもグリーン・ニューディール政策を掲げるなど世界の関心は環境問題に向けられています。
環境・循環型社会白書(環境省発行)によると、日本の産業部門のエネルギー消費は、近年ほぼ横ばいの状況なのに比べて、家庭用エネルギーの消費量(2005年)は、基準年(1990 年)に比べて44 %も増加。その家庭のエネルギーを減らす事に大きく貢献できそうなのが、世帯当たりの用途別エネルギー消費量の35.1%を占める動力・照明の分野。
省エネの取り組みのひとつとしてオーストラリアやEU諸国では、消費電力の大きい白熱電球から省エネランプへの切り替えを促進させるため、白熱電球の販売を2012年頃までに中止することを発表しています。そして日本政府も白熱電球の製造を2012年までに中止する方針を示し、それを受けて日本の大手メーカーも白熱電球の生産縮小や製造中止を発表しました。
■次世代のあかりLED電球
当面は、電球形蛍光灯が白熱電球の代替え商品ではありますが、さらに次世代照明として、注目を集めているのが「低消費電力」「長寿命」の照明用白色LED。3月3日〜6日「ライティングフェア2009」(東京ビッグサイト)で発表された、東芝のLED電球E-CORE(イーコア)は、従来の40wの白熱電球に比べて消費電力は約1/8、蛍光ランプに比べても約1/2。寿命も約40,000時間と白熱電球の約40倍、蛍光ランプの約7倍と長いのが特徴。この新商品は、大きさも白熱電球と同じコンパクトさ。これまでLEDは、信号機や車のヘッドランプなどに採用されてきましたが、LED特有の白い光に加え、電球色といわれる黄色い灯りも再現できるようになって、白熱電球から置き換え可能なLED電球の商品化が本格化してきました。
■低価格化の競走も始まった
今春、東芝から定価¥10,500で発売になったばかりのLED電球が、7月には半額の5,250円で発売すると発表されました。そしてシャープも白熱電球型のLED電球を約4000円で発売し、家庭用照明事業に参入します。まだ白熱電球の市場価格が100円くらいなのと比べるとかなり高価ですが、低価格化競走に拍車が掛かれば、普及を後押しするでしょう。「低消費電力」「長寿命」のLED電球は、省エネに大きく貢献します。「いいものを長く使うエコな生活」のひとつとして、吹き抜けや取り替えの面倒な場所から、LED電球に替えていくのは、可能かもしれません。
白熱電球に置き換え可能なLED電球E-COREイーコア(東芝ライテック)。今年3月発売。
こちらも白熱電球に置き換え可能な電球形LED電球(パナソニック 参考商品)
<参照>独立行政法人/新エネルギー・産業技術総合開発機構/NEDO海外レポート
環境省 環境・循環型社会白書
東芝ライテック プレスリリース
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