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2009.05.08

2009 田植え体験ワークショップ リポート Part 1: まとめ&経緯

photo: Kazuko TOMOYORI, Motohiro SUGITA
text: Motohiro SUGITA
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田んぼの真ん中から2列に分かれて田植えスタート!

天気予報に反して五月晴れとなった5月3日(日)、房総半島・上総一ノ宮駅近くのトランローグ・ワークショップ前にある田んぼで、幼児から60歳代まで総勢34名が参加し、手作業による田植えを行いました。
参加者の大多数が田んぼ初体験。トランローグは、参加者に米づくりを通して土や水、自然と直接触れることの気持ちよさを体験してもらいたい、と考え「第1回田植え体験ワークショップ」を企画しました。
10名ずつ2列になり、約860平米(=約260坪=約0.87反)の水田に、2時間程で苗を植えることができました。途中リタイアした人も含め、参加者は皆一様に田植えを満喫した様子でした。

素人が1反(イッタン=約300坪=約990平米/田の面積を数える1単位)の田んぼで田植えをする最少人数について、トランローグなりに試算してみました。
1反は0.87反の約1.15倍。20人で作業すれば、120分×1.15で約138分。延べ時間は20人×138分で2,760分=46時間。そこで、5時間作業して終了とすれば、46時間÷5時間で9.2人=10人となります。これに田んぼの両側で苗を植える目印となる縄を移動させる2名をプラスし、12人が最少プラス・アルファ、といったところでしょうか。

ところで「住環境ビジネスをデザインする」をスローガンに掲げ、様々な住環境テーマと取り組むトランローグには、参加者の「田植え体験」と同時に、2つの目的がありました。
「里山の保全、再生」と「田舎と都会の交流」です。
昨年までこの田んぼは、10年以上に亘って休耕田の荒れ地でした。周囲の田んぼも年々休耕田となり、昨年夏、とうとうこの田んぼにもゴミが捨てられ、車の一部が投棄されるようになりました。田舎も都会同様に、空き地や空き家は次第に荒れ、大袈裟に書けば犯罪の温床になってしまうのです。
トランローグは、昨年夏に役場に相談し、地主の許可を得て荒れ地のススキとクズを刈り、桑の根を開墾し、秋には地元シルバー人材センターに依頼してトラクターで耕していただきました。そして春に、田んぼ仕様となるように土を移動して周囲に防水処理を施し、雨水が流れる水路から導水管を通して水を引き、田んぼをつくりました。

「驚いたね。本当に田んぼになったね!」「大したもんだ!」「ガンバってこの辺の休耕田を全部田んぼにしてよ!」
田植えワークショップを終えると、近隣の方々が次々とやって来て、私たちに喜びと期待の声を掛けてくれました。
田舎でも都会同様、地主が放置してしまった土地は、近隣としても手の出し用がないのです。
近隣の農家にとって、都会からやって来て荒れた休耕田を美しい田んぼに作り替えたワークショップ参加者は、ありがたい訪問者となったようです。

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10年以上放置された荒れ地の様子。2m以上のススキ、縦横無尽にクズが繁茂

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3カ月間ススキとクズを刈り、その後3本の桑の根を掘り起こして開墾

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田んぼに雨水を引き込む導水管(上)と田んぼから溢れる水を抜く配水管(下)

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カーテンと天井ターフで直射日光を遮ったサンルームで田植えを待つ苗。苗は直ぐに植えられる硬化苗で、地元JAから一箱870円(配達費込み)を30箱分購入。品種は、この時期手に入る唯一の品種でコシヒカリ。この辺りでは、背が低くて台風に強く、病気にも強いフサオトメなどの品種がベター。なお、昨年までの3年間、実験的にコシヒカリの苗作りから始め、米を収穫し続けることができたので、よほどの事が起こらない限り、米が穫れない、という事態は想像しずらい。

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ワークショップ Workshop 01 米づくり/家庭菜園」カテゴリの記事

コメント

森谷さん、
お問い合わせありがとうございます。
残念ながら、書物はありません。
多くの方から出版するようリクエストされていますが、忙しくて出版社に提案できていません。

さて、次のページの最後に目次があります。その一番下が最も古い記事になります。そこから順番に読んでいただければ、かかる費用項目についてもピックアップいただけると思います。
http://tranlogue.cocolog-nifty.com/blog/cat21194333/index.html

費用項目について、大雑把に書き出しました。
近隣農家にサポートしていただきながら、自給用の1反の田んぼで、有機無農薬、手作業による米づくりを楽しむことが前提です。
(実際は0.85反です)
ご参考まで。

【借地】
荒れ地をきれいにした分、無料でお借りしています。

【開墾】
草を刈るための刈り払い機と混合ガソリン。草を集めるためのアメリカレーキやフォーク(名称?)。
野焼きができない場合は(基本的にはできません)、自治体に回収を依頼したり、時間をかけて堆肥にするのでしょう。
木を伐るにはノコギリあるいはチェーンソー。
木の根を抜くにはツルハシやシャベル、牽引用の車両とロープ。
さらに、地中にはびこるクズの根を切断し、開墾するため、シルバー人材センターに依頼。
人件費とトラクター代として、それぞれ1回5千円〜1万円程度でした。
金額は地域や担当者によって大きな差があります。あくまでも目安、ということで。
耕耘機やトラクターを購入するより、それらを持っている近隣農家にお願いするほうが、安く、コミュニケーション上もいい、と判断。

【田づくり】
畔(くろ)をつくるためのシャベルやスキ、クワ。
斜面からの水漏れを防ぐための畦波板シートは、結果的に不要でした。当地の場合、泥で畔塗りするほうが確実です。
肥料として米ぬか、藁灰、鶏糞を使用。米ぬかと藁灰は前年の収穫物から。鶏糞は15kg-150円を約10袋。
荒れ地(草地)を開墾した1年目は肥料がなくても十分育ちます。

【田植え前の耕耘・代掻き】
最初の2年間はシルバー人材センターに。3年目から近隣農家にお願いしています。
費用は開墾と同様。

【田植え】
苗はJAから購入。約800円の苗箱を16箱。
かつて家庭菜園用の苗は、自分でつくっていました。もちろん農家のように自作可能です。
稲を植える目印用のロープと紐。
田んぼ用長靴。
田植えワークショップ参加者への食事と飲物、保険代。

【水】
水は水路に流れる雨水を利用。地元水利組合に維持管理費として年間約3,000円。

【草取り】
潮干狩り用の鋤簾(じょれん)。

【稲刈り】
鎌。
ハザガケ(オダガケ)用の竹は、近隣農家から無料でいただきました。
竹挽き用ノコギリ。
稲刈りワークショップ参加者への食事と飲物、保険代。

【脱穀・選別・籾摺り精米】
足踏み脱穀機が約4万円。
選別用の唐箕(とうみ)が約4万円。
籾摺り精米機が約5.5万円
ナイロンネットの専用袋に籾を入れ涼暗所で保管すれば、低温冷蔵庫に入れなくても、1年間おいしく食べられます。

投稿: sugita | 2012.08.20 13:10

田んぼ作りの記事に大変興味がございます。
親から譲り受けた私の田んぼもここの田んぼと同じように桜の木などが生えてしまっていますが、出来れば米の作れる田んぼにしたいと考えております。おおよその費用なども知りたいと思っています。
ワークショップの記録を書物などにしたものはございますでしょうか?もしあれば紹介していただけないでしょうか?
私は千葉市に住んでおります。よろしくお願いいたします。

投稿: 森谷誠一 | 2012.08.20 04:31

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