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2007.03.10

スローな家づくり2ー敷地を生かす配置と間取り

新生活スローライフの出発点に求める家は?

 東京駅から特急で1時間、快速で1時間20分の外房線・上総一ノ宮駅から車で7分の距離にある休耕田を購入した私たちは、造成を行った後1年間、その土地の環境変化を観察し、建物の配置を考えた。当初、土地+建物で1000万円を目指していたが、土地代と造成費用に約440万円を使ってしまった私たちに残された予算は560万円。そこで、セルフビルドに興味を持っていた私たちは、自力でRC造や木造軸組の自宅を建てた先輩に話を聞いて回った。
 「自分の家を自分でつくる喜びを考えれば、人任せになんかできないよね」「100万円もあれば、基礎工事や建築工事に使う電動工具を含めて6坪の小屋を自作できる。後は予算に合わせて増築すればいい(参考図書:小笠原昌憲著『100万円の家づくり』自然食通信社刊)」という先輩方の自信に満ちあふれた言葉に、私たちは後ろ髪を引かれながらも、初めての家は大工さんに木造軸組で建ててもらうことに決めた。

 セルフビルドを断念した理由は、電気も水道もない場所で、いずれ使わなくなるプレハブの仮小屋を買うかレンタルして、電気や井戸を仮設する金がもったいない、と考えたからだ。それなら、最初の家は将来セルフビルドしたり菜園をつくるためのスローライフの出発点となるような、機能的で無駄のない、夢の描ける家にしようと決めた。そして、東西に長く南西角で公道と接する敷地では、建物を東西どちらに寄せるかが問題になるが、初めての家は西に寄せて西側の林によって西日を防ぎ、南に向かって開かれた敷地を生かして南向きの眺望を楽しみ、アプローチから遠い東側に菜園などを配置することにした。私たちは初めての家を「センターハウス」と呼ぶことにした。そして将来、木造軸組による物置小屋とRC造のゲストハウスをセルフビルドして家づくりは完成とし、センターハウスを第1期工事と位置付けた。そしてセンターハウスに求める機能を集約した結果、最小限でマルチ機能のプランニングが見えてきた。

“田の字プラン”+サニタリー分離

 私たちがセンターハウスに求めたもの。それは、食べる、寝る、仕事する、建築や畑仕事の準備と後片付けをする、物をしまう、友人と遊ぶ、それらのための空間と機能だった。中でも今後、第2第3の小屋をセルフビルドしていく上で重要なのが、材木などを格納し、刻み作業を行うための十分なスペースだった。
 また、日頃から1日の半分を靴を履いて過ごす私たちにとって、畳やフローリングは過剰なものだった。むしろ土間スタイルの暮らしがフィットすることに気付いた。そして、建築コストにも配慮しながら建てやすく使いやすい、農家スタイルの田の字型の間取りを基本に、収納を兼ねた予備室としての小屋裏を設け、腐食しやすい風呂、洗面、トイレ、洗濯などのサニタリーを母屋から分離することにした。土間はベタ基礎のコンクリートをモルタルで仕上げ、10畳の広さの3つの空間をL字型に連続させた。ひとつをキッチンとダイニング、ひとつをリビングと仕事場、ひとつをサンルームとし、この3つの空間は必要に応じて30畳の作業場や物置へと変化する。これに10畳の板の間を足して田の字プランの1階とした。
 2階は10畳の予備室とし、子供部屋にも、来客時の寝室にも、納戸にも使えるように考えた。また、2階には90㎝と比較的幅広のキャットウォークを設け、窓の開閉や照明のメンテナンス時に使用するだけでなく、眺めのいい場所をつくることにした

超ローコスト&高性能で自然派住宅の標準タイプを目指せ!!

 フレキシブルで構造的にも強いシンプルな平面プランを考えながら、建材を探した。かねてより注目していたのがJパネルだ。国産スギの間伐材を使った集成材だが、健康被害を引き起こすホルムアルデヒドを発散する接着剤の使用量はF☆☆☆☆の最少レベル。今の時点でまったく無害とは断定できないが、比較的安心な建材だと判断した。36㎜厚で外断熱の効果も抜群、構造用合板として壁倍率2.5倍の認定を受けている構造材で、マルチな建材だ。欠点はそれ自体高額であるばかりでなく、全国3カ所にある生産地はいずれも遠く、別途運賃も高額になる点。輸送に伴うガソリン消費や排気ガスによる環境負荷の高い点。しかし、実験的エコハウスを目指す私たちには、どうしても実証したい魅力的な建材だった。さらに、健康と環境に配慮して、直接肌に触れる内外の壁や床・天井はもちろんのこと、構造材や断熱材にもグラスウールやウレタンを使わず、すべてを木材とすることで、自然の調湿効果を最大限に引き出そうと考えた。木の弱点である腐食については、基礎立ち上がりを600㎜として地面からの湿気と虫を防ぎ、土台には腐食しにくいヒノキを使い、仕上げには防虫効果があるといわれる柿渋を塗ることにした。また、基礎立ち上がりや壁に開閉式の換気口を設け、小屋裏には高温時に換気扇を作動させるサーモスタットを付けて室内換気を行うことにより、快適な室内コンディションを保つことにした。さらに屋根の断熱に配慮して2重屋根とし、2層の間に空気層を設けた。そして、柱は4寸、大黒柱に至っては一尺は欲しいと考え、柱はスギ、雨のしみ込みやすいサンルームの角はヒノキとした。
 基本プランが決まると、私たちは土地の手配を依頼したカントリーライフの大谷さんに建築監理もお願いし、彼同席の下、棟梁の高梨さんと3回の打ち合せを行い、間取りや仕上げ、設備について詰めていった。最近は組み立ての簡単な2×4を専門とする大工さんの方が多く、軸組で建てる高梨さんに引き受けてもらうのはひと苦労だったそうだ。極端に低予算でありながら昔ながらの本格的な在来木造を目指す私たちの熱意を理解してくれた高梨さんは、柱と土台や梁を継いで留める箇所には、「昔ながらの込み栓を使おう。土台は外壁を貼ると見えなくなるからもったいないけどな(笑)。普通は金具で留めるけど、この方が緩まなくていいんだよ」と、のり気になってくれた。

 内装材としては野暮ったい、といわれがちな木にこだわりながらもスタイリッシュで高性能な住まいを目指す私たちは、外壁は雨の染み込みに配慮してスギ下見板貼り、室内は調湿効果を引き出すために真壁とし、スギ板を縦に貼り、仕上げには天然塗料の柿渋に顔料を混ぜた白い塗料で仕上げることによってクールな見栄えに配慮した。自然派高性能住宅を目指す私たちが間取りでこだわったのが、サンルームと縁側として使える板間だった。サンルームは明るさを確保し、冬場に太陽熱を利用して室内を暖めるために。縁側(板間)は夏には床下の通風によって涼しく、冬は通気口を閉じて外気を遮断し、断熱効果を高めるために。造成を通して環境を読み、1年以上掛けて考えたプランは完成した。そして私たちは自ら設計図を描き、自ら役場に工事届を出した。農地や山林は都市計画区域外で建築確認申請が不要なことが多く、建主自ら届出を出すことが可能だ。設計図というと描いたことのない人は、「無理だ!大変だ!」と、お思いだろう。しかし、ここでいう設計図は、住宅の構造や性能を検査する確認申請図面とは関係なく、基本的には大工さんと打ち合わせができる図であればいいのだ。これによって建築士に支払う15万円程度の申請費用も0円で済んだから馬鹿にならない。机上の設計だけでは、本当にその土地に馴染む配置と間取りか否かは分からない。そこで私たち親子3人は、敷地に建物外形の位置を表すロープを張って現場検証を行った。配置で最も配慮したのは、万が一、裏(北側)の山林から水が流れ込んだ場合を考えた北側敷地境界線から建物北奧までの空きの確保、車2台を並列駐車できる西側駐車スペースの確保、今後東側に増築する際に南側から工事車両が通れる道幅の確保だった。そして現場検証の結果、建物周囲に沿ってベタ基礎を増設する犬走りは、水害の心配がある北側を残し、その他を省いた。これによって犬走りの分だけ建物を西側に寄せ、東の庭と南側通路幅を広くした。こうして決定した最終プランに対して見積りを依頼すると、建築費用は約750万円。目標の560万円から190万円もオーバーしたが、高額なJパネルや木製ペアガラス、和紙を両側に貼って断熱性を高めた障子、太い柱梁、ノン・アスベスト屋根材などにこだわったことを考えれば増額は納得できた。そして、多少の値引きに期待しながら、工事を発注した。

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